神奈川工科大学は、2006年に日本で初めてモバイル学生証を導入した学校だ。「おサイフケータイ」のサービスがスタートしたのが2004年。その2年後に授業の出席や図書館の入館・貸出しを携帯電話で一括管理できるシステムを構築した。サービス開始時は、帝国ホテルで記者会見を開き、テレビ、新聞、雑誌など多数のメディアが取材に駆け付け注目を浴びた。

「健康管理」から地元商店の「クーポン」まで。<br />神奈川工科大学のモバイル学生証がすごい!モバイル学生証で本人認証を行い計測。詳細データが蓄積されていく(写真提供:神奈川工科大学)

 そのモバイル学生証『KAIT Walker』が、この9月よりタニタのマルチ周波数体組成計と連携し、健康管理機能を付加した。スタート時よりプロジェクトリーダーを務めてきた、経営管理本部事務システム課の貝瀬亙氏は言う。

「不摂生な学生は多いのでまず健康意識を高めてもらいたい。体組成計は図書館に設置したんですが、知識を高める場でもある図書館に立ち寄る習慣をつけてほしい。そんな願いも込めています」

 学生は在籍期間中いつでも無料で利用でき、マルチ周波数体組成計に乗るだけで体重、体脂肪率、推定骨量、筋肉量、基礎代謝量、内臓脂肪レベルなど詳細なデータが蓄積されていく。パソコンやスマホから専用サイトにアクセスすれば蓄積データがグラフ化され、分析結果の詳細や数値の変化を見ることができる。

 スタートから7年、健康管理までできるようになったモバイル学生証だが、他にも様々な機能を備え進化を遂げてきた。当初は、セキュアマトリクスという個人認証システム(シー・エス・イーが開発)を活用した授業出席管理と図書館入館・貸し出し管理が主な機能。利用者も5000人中500人と10%程度だった。

 それが今や、全学生の80%にあたる4000人が利用。授業出席管理も進化し、誰がどの授業に出席しているかリアルタイムで把握できてしまう。しかも、授業の出席状況が親元にも送信できる(本人の承諾を得た場合)。

 その他、学内を案内してくれるキャンパスナビ、カフェテリアの混雑状況をスマホの画面で確認できるWEBカメラ、就活講座や漢字、英単語の学習アプリも利用できる。災害時に安否を確認できる機能も好評。学生とその家族が登録可能で、大災害の時には登録メンバー全員に安否情報が配信される仕組みだ。