日本の映画市場は米国の市場の約5分の1である。だが、音楽ソフトでの日米市場格差は小さく、米国の約2分の1。米国の人口が日本の2.3倍であることを考えると、日本の音楽業界は健闘していると言っていい。

 CDなどオーディオレコードと音楽ビデオを合計した音楽ソフトの日本の生産額は3911億円(2007年)。これに音楽配信の755億円を加えると4666億円となる。ピーク時の1998年の6075億円に比べると、23%強の縮小となっているが、「日本は頑張っている」と業界関係者は口をそろえる。

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音楽ソフトはオーディオレコード(CDなど)と音楽ビデオの合計。音楽ビデオは、2002年より統計を開始。資料:日本レコード協会

欧米の音楽関係者も驚く
日本の音楽マーケット

 世界最大のレコード会社、ユニバーサル ミュージック グループの日本法人、ユニバーサル ミュージックの石坂敬一会長兼CEOも次のように指摘する。

 「欧米の音楽関係者は、日本の状況に驚いている。米国では、2007年だけで18%の減少となったが、日本では音楽配信も含めると、市場は落ち込みは止まっている。30歳代から50歳、60歳代の顧客開拓も進み、米国ではウォルマートなど、売れ筋商品を中心に取り扱う大手流通の台頭で、音楽専門小売店の淘汰が進んでいるが、日本ではそうした事態には至っていない」。

 米国市場での音楽ソフトの販売店のトップ3は、ウォルマート、ベストバイ、ターゲットで、いずれもディスカウントストア。この3社で50%を超える販売シェアを持っている。2006年に音楽専門小売店の米タワーレコードが倒産したが、それまでに米国では約1200の専門店が閉店に追い込まれている。

 日本には再販売価格維持制度があり、新聞、書籍、雑誌とともに、音楽ソフトもその対象となっている。そのため、発売当初から、安い価格を付けて目玉商品にされるといったことがない。