JALの破たんを食い止め、自主再建を目指した前原国土交通大臣。しかし、自らJALに送り込んだ専門家チーム「JAL再生タスクフォース」の結論は、「企業再生支援機構」という公的な機関に再建をゆだねるというものだった。

 支援機構は国と民間の金融機関が出資して今月発足した新しい機関で、公的資金を活用しながら業績不振の企業を支援する。つまりJALの再建は事実上、国の管理下で進められることになった。取材班は、前原大臣と専門家チームの1ヵ月を追った。

JALの自主再建を目指し、専門家チームを送り込んだ前原国土交通大臣(写真左)。冨山和彦氏(写真右)率いる「再生タスクフォース」は、最終的に「企業再生支援機構」に再建をゆだね、解散した。

 前原大臣は就任直後の9月25日、JALの経営を立て直すため、事業再生の専門家チームを送り込むと表明。再建の任務を託された冨山和彦氏は、ダイエーやカネボウなどの再生を手がけた手腕が買われた。

 「よくぞここまで積み上げたと思えるくらい負の遺産があった。古いJALを捨て、新しいJALをどう作っていくかテーマだった」

と、冨山氏は話す。専門家チームは、10月末を期限に再建策をまとめることになった。

JALの改革を阻んだ
官僚的組織

 JALはなぜ、経営が悪化したのか。経営企画室の元次長、赤井奉久氏は、飛行機1キロを飛ばすのにあたり、運賃をいくら受け取っているか示したデータを見せてくれた。JALはデルタ航空やシンガポール航空などより高く、世界で最高水準の運賃をもらっていた。赤井氏はこう指摘する。

 「一番高い収入単価にもかかわらず、利益が出ないというのは、コストが高いためだ」

JAL経営悪化を招いた高コスト構造。その理由の1つに、燃費の悪いジャンボ機を数多く保有していることがある。

 コストの4分の1を占める燃料費の削減が進まないのは、燃費の悪いジャンボ機を世界で一番多く使用しているためだ。資金繰りが苦しいという経理部門、座席数が減ることに懸念を示す営業部門、こうした主張に押され、経営陣が大胆な決定をせず、改革は先送りされてきたというのだ。さらに赤井氏はこう分析した。

 「各部門が一生懸命になり、結果として思い切ったことはできずに、ほどほどになる。JALは官僚的組織だった」

 専門家チームがJALに入って2週間、中間報告をまとめた。その柱はグループで9000人の人員削減、赤字の45路線からの撤退、そして取引金融機関に債権放棄など巨額の金融支援を求めるというものだった。

公的資金をめぐる攻防
年金減額に立ちはだかるOBの壁

 10月13日、専門家チームは金融機関に債権放棄の総額は口頭で2500億円規模にのぼると説明した。銀行側は一方的に負担を押しつけるものだと猛反発。銀行にはJALに支援を繰り返してきたにもかかわらず、経営体質がいっこうに改善しなかったという根深い不信感があった。