株式レポート
9月5日 18時0分
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9月末の日経平均株価予想 【サブシナリオと買いヘッジ】 - 広木隆「ストラテジーレポート」

サブシナリオ

メインシナリオは8月28日付けレポート「波乱の秋は絶好の仕込み場」で示した通りだ。すなわち、この秋には重要イベントが目白押しで相場の波乱要因となる、それでも4-9月期の決算発表では業績の上方修正が期待できることから最終的には株価は上昇するだろう、だから相場が下げたところは押し目買いで臨むべき - というのが結論だった。

それをメインシナリオとすると、サブシナリオは「押し目待ちに押し目なし」である。案外、波乱などなく、相場は順調にリスクイベントをこなしていってしまうかもしれない。なにしろ、この相場に関わるほぼすべてのひとが「波乱の秋」という。それほど前から、「荒れる荒れる」と誰もがいうなら、当然のようにみな準備は出来ているだろう。下げたところを仕込もうと待ち構えていても買わせてもらえないかもしれない。買い場を逃す - それも「リスク」である。

買いヘッジ

「リスク」を回避するには「ヘッジ」をするべき。ダウンサイド(値下がり)リスクを回避する「売りヘッジ」を行うのが一般的によく用いられる。例えば複数の銘柄から成る株式ポートフォリオを保有していて、あるイベントが相場の波乱要因となりそうな場合、リスクをヘッジするために一時的に先物を売り建てることなどである。個別銘柄を売却すると、それをまた買い直してポートフォリオを再構築するのは手間やコストがかかるので、流動性のある先物を使って一括でヘッジしたほうが簡便である。

ヘッジと言っても、もちろん売ることには変わりないので、予想に反して相場が上昇すれば売りポジションは損になる。反面、保有し続けたポートフォリオは値上がりするので、それと相殺してチャラというわけだ。つまり、100%の先物ヘッジ売りとは一時的にポジションを持たないということである。

アップサイド(上昇)リスクをヘッジするのが「買いヘッジ」である。「売りヘッジ」の正反対に現物の売りポジションをカバーするために先物で買いヘッジする例は商品相場などではよくあるが、株式の場合はあまりポピュラーではない。株式投資における買いヘッジは、買い場を逃すリスクがある場合、とりあえずエクポージャー(ポジション)をとっておこうとするものである。インデックスファンドが追加のポジションをとる場合、まず先物で市場のエクスポージャーを確保し、その後現物株の手当てと相殺する格好で先物買いを手仕舞うのは一般的に行われていることだ。

インデックスファンドのケースでは、資金流入に応じた追加ポジションの構築なので、どっちにしろ買わなければならないのだから、買いヘッジのニーズがある。ファンド側にはマーケット・タイミングを測るインセンティブも裁量権もない。

それに対して、一般の投資家が、マーケット・タイミングで勝負する場合、買いヘッジというのは本来おかしいのだが、気分は「買いヘッジ」だ。買い場を逃すリスクを回避しようという意図だから。
雇用統計 空クジなしのイベント

この週末、まず最初の大きなイベントがある。米国の雇用統計の発表だ。8月の非農業部門の雇用者数は18万人の増加が見込まれている。前月が16.2万人増だったから、それよりは多くなるというのが市場のコンセンサスである。予想対比、どのような結果になるかという意味では、場合の数は3通りしかない。予想を上回るか、下回るか、予想に一致するか、の3通りで、これ以外のパターンはない。

① 予想を上回るケース
例えば20万人を超えるような強い数字が出る場合。このケースでは今月のFOMCでテーパリングの開始が決定される確度が高まる。問題はその場合の市場の反応だが、もういい加減、テーパリングの開始は市場は織り込んでいるだろう。以前ならば、強い景気指標→テーパリングの早期開始という連想でネガティブに反応する場合もあったが、さすがにこの期に及んでそうした反応はないだろう。なにしろ、今はもう9月なのだ。「早期開始」も何もない。素直に米国労働市場の回復、米国景気の改善を好感して株高・ドル高で反応するだろう。

② 市場予想に一致するケース
これも上記①と同じ反応だと思われる。

③ 予想を下回るケース
問題はこのケースである。しかし、このケースではテーパリングの9月開始の先送り、もしくはテーパリングの規模が小幅なものとなる期待が台頭し、株式市場にとってはポジティブに働く可能性がある。ドルにとっては不明。純粋に考えればドル売り材料だが、株式市場が崩れなければドルもしっかりだろう。

よって今回の雇用統計は、どのパターンになっても相場に大きな波乱をもたらすリスクは少ない。ここは買いヘッジで対応する場面ではないか。本日、14時前に急速にドル円が上昇し100円目前までドル高となる場面があった。特に材料はなかったはずだが、雇用統計にベットした先回り買いではないかと思う。

9月末の日経平均株価予想

日経新聞社に提出した「日経平均ダービー」の9月末の予想は、1万4550円とした。前回2回は1万4800円の予想を維持し外れてきた。今回、3度目の正直で同じ値を出してもよかったが、ちょっと日和(ひよ)ってしまった。それでも7月に1万5000円目前まで上昇してから急落に転じた最初の下げで空けた窓を埋めるところまではいくだろうと考えた。その窓埋めの水準が1万4550円である。



7月の1万4800円は月中に達成されていたのである。ただ、月末の値ではなかった。今回も、1万4550円は月中のどこかでクリアされるだろうと思う。しかし、月末の着地が、その水準かは分からない。このゲームの難しいところである。


(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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