今回は、前回の「20代を“うつ”にし続ける女性マネジャーの病理」の続編をお届けする。かつてブラック企業の中堅広告代理店(正社員数600人)に在籍し、社長の命令で20代の若手社員の大量リストラを行った元事業部長のA氏(46歳・男性)に対する「若手上司によるマネジメントの課題」についてのインタビューをまとめたものである。

 A氏とのやりとりについては、よりニュアンスを正確に伝えるため、インタビュー形式とした。取材の内容は、実際に話し合われた内容の9割方を載せた。残りの1割は、会社などが特定でき得る可能性があることから省略した。

 当時(2008~09年)、A氏はリストラの最前線で20代の社員80人ほどから辞表を受け取った。社長からの指示だった。その会社を数ヵ月前に退職し、来年からは大手広告代理店の関連会社(社員数500人)に役員として迎え入れられる予定だ。

 ちなみに、A氏がもといた会社で行われたリストラの詳細についても、連載第7回で取り上げている。


部下を潰れるまで問い詰める
それが「育成」だと思い込んでいる

なぜ高学歴のクラッシャー上司が評価されるのか?<br />20代“うつ”社員の量産ラインと化した職場の混迷元事業部長への取材は、都内の中心部で行なわれた

筆者 前回は、マネジメントに大きな課題を抱える30歳前後の女性マネジャーを取り上げました。20代の部下3人を潰してうつ病にし、退職させてしまったようだが、他の管理職はどうだったのですか。

A氏 営業部にも、30歳ぐらいの男性マネジャーがいて、20代の部下10人ほどをうつ病状態にして辞めさせた。このマネジャーはその後、依願退職した。部下を潰したことで責められたわけではない。「自らの意思で辞めた」と、営業部長などから聞いた。