買収防衛策を導入する上場企業が、諮問機関として「第三者独立委員会」を設置している事例は多い。その役割としては、買収を仕掛けてきた相手が「濫用的買収者」に該当するかを判断し、買収防衛策を発動するか否かの勧告をすることだ。

 最近、第三者独立委員会が役割を果たした事例としては、TBS・楽天の攻防が特に印象に残っている。

 9月に、TBSの第三者機関「企業価値評価特別委員会」は、楽天に対して買収防衛策を発動する必要はないとの判断を下したのだが、この勧告は非常に画期的なことだった。というのは、第三者独立委員会というのは、「防衛策を勧告しない」ことに意味があるからだ。

 第三者独立委員会は、取締役会に対して防衛策へのお墨付きを与える場ではない。第三者が客観的にチェックし、判断するという行為が重要なのだ。

 委員会は楽天側と交渉して、今後10年以内に21%を超えるTBS株式を追加取得する意図はない、という確認を取った上で、その範囲であれば防衛策発動すべきではない、と判断した。委員会の判断が経営者から独立しているかどうかがポイントであり、経営者の言うがままに動く委員会だと、特別委員会をわざわざ設ける意味がなくなる。

 TBSの場合は、委員に1人でも反対が出た場合には総会にかかりうる仕組みだったが、結果的に委員会全員が納得したという。今後、第三者独立委員会というものがきちんと機能するかどうかの大きな前例となった事例と言えるだろう。

独立委員会があることが
経営者の免罪符ではない

 対比的に考えると、昨年の王子製紙TOBに対して、北越製紙の第三者委員会は、なぜ買収防衛策の発動を認めてしまったのか、との思いは強い。