経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2016
【第39回】 2013年9月17日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

【梅田望夫氏×武田隆氏対談】(前編)
「あちら側」と「こちら側」はまだ遠い?
ベストセラー『ウェブ進化論』著者が
『ソーシャルメディア進化論』著者に訊く!

シリコンバレー在住の梅田望夫氏が2006年に上梓した『ウェブ進化論』は、発売されるや学生から年配のビジネスパーソンまで幅広い読者を獲得し、一大ベストセラーとなった。おもしろいことに、若い読者がまとめ買いをし、上司や親に配るという現象まで起きたという。
あれから7年。「IT業界のドッグイヤー換算でいえば、2006年はもう50年以上前」と言って笑う梅田氏の目には、この間のインターネットの進化はどのように映っているのだろうか?

2006年、啓蒙書としての役割を果たした『ウェブ進化論』

武田 梅田さんが書かれたベストセラー『ウェブ進化論』。あの本に、エイベック研究所はすごく助けられました。というのも、2006年に『ウェブ進化論』が出てから、われわれの仕事がすごくしやすくなったんです。

梅田望夫(うめだ・もちお)
1960年生まれ。慶應義塾大学工学部卒業。東京大学大学院情報科学修士。コンサルティング会社「ミューズ・アソシエイツ」をシリコンバレーに設立し、日本のIT起業家に対する支援やマネジメント・コンサルティングを行う。2006年には『ウェブ進化論』でパピルス賞を受賞。「観る将棋ファン」を自認し、将棋の普及に関わる活動にも広く携わる。

梅田 仕事がしやすくなった、というのは?

武田 『ウェブ進化論』を読んだ年配の方、とりわけ企業の中で決裁権を持った方が、インターネットの価値や未来に理解を示してくださるようになったんです。

梅田 そうだったんですね。あの本は、当時不思議な売れ方をしたと聞いています。若い人がまとめ買いをしていく。そして、上司や親に配るという現象が起きていたんです。

武田 私も当時のクライアントにたくさんお配りしました(笑)。

梅田 ありがとうございます(笑)。

武田 『ウェブ進化論』を最初に読んだとき、正直、自分が「知っていること」が書いてあると思いました。ところが後になって、インターネットで起こっている実際とその可能性を、IT業界以外にも広めてくれたんだとわかりました。おかげで私たちの活動もしやすくなりました。

 そしてソーシャルメディアが出現し、多くの方が「名前は聞くようになったけど、ソーシャルメディアとはいったい何なんだ?」「私たちにどんな恩恵をもたらしてくれるものなんだ?」と、その正体に興味を持つような時代がやってきました。そこで、私もソーシャルメディアについて、梅田さんと同じ役割を担いたいと思いました。なので、編集者の常盤さんと相談し、『ウェブ進化論』から「進化論」をお借りして、『ソーシャルメディア進化論』としたんです。

梅田 光栄です。あとがきにもその旨、書いてくださっていますよね。

武田 『ソーシャルメディア進化論』は2011年7月に刊行したのですが、それから5年後くらいに「この本の書いてあった世界が本当に出現した」と思ってもらえるような内容を書いたつもりです。佐々木俊尚さん、武邑光裕さん、宮台真司さん、公文俊平さん、松岡正剛さんなどに、本に書いた未来をオーソライズしていただき、また、多くの読者の方々から賛同のメッセージをいただきました。とても嬉しく、私の本も少しはその役割を担えたのではないかと自負しています。

 ところで、『ウェブ進化論』が出たのは2006年なんですよね。なんだか、もっと昔のような気がしますね。

梅田 IT業界のドッグイヤー換算(IT業界の技術革新スピードを表すたとえ)で言うと1年が7年に相当しますから、もう50年以上前ということになります(笑)。『ウェブ進化論』は、2006年当時にネット業界にいた人たちに、自分で書いた本のように共感してもらえたようです。当時は、グーグル創業者たちのビジョンや、ロングテールの問題など、シリコンバレー発のインターネットの世界について、ある程度のコンセンサスがとれた時期でした。そして、当時のネットに触れていた若い人たちは、そういう世界が大好きだった。でも、まわりには理解されていなかった。

武田 そこで、『ウェブ進化論』が啓蒙の役割を果たしてくれたのですね。

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルメディア進化論2016

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