「社長になったつもりでやれ」という言葉の本質

なぜコレクターとして食ってこられたのか?<br />なぜ東京ディズニーランドは成功したのか?<br />―――情熱をもって仕事をすれば、人生が変わる【北原照久氏×渡邊喜一郎氏】(後編)

北原 この本の中に出てくる「みんな社長になったつもりでやれよ」という加賀見会長の言葉、すごく素敵ですよね。これは、オリエンタルランドに入社してすぐに言われたんですか?

渡邊 はい、いちばん最初にかけられた言葉だったので、インパクトもありましたし、頭にすごく残りました。「社長になってやれよ、社長になった気分でやれよ」と言われて、「何で新入社員の俺が社長なの?」と(笑)。

 でも、これは、「思ったとおりにやって良いけれども、ちゃんとビジネスのことを考えなさい」ということだと思います。しっかり考えて実行したら、あとはすべて責任を取るから、と。普通言わないですよね、入ったばっかりの新人に。

北原 新入社員らしくありなさい、ではなかったんですね。

 帝国ホテルの犬丸社長の言葉に「100-1=ゼロ」というものがあります。どういう意味だと思いますか?これは、サービス業というのは、99人がいくら必死に頑張っても、たった1人が心のない、ダメなサービスをしてしまえば、それを受けたお客さんにとってはその99はなかったことになる、ということなんです。ドアマン、フロント、ルームサービス、レストラン、カフェ――このうちどこかひとつでもダメだと、結局全体のイメージはゼロになってしまう。だから「100-1=99」ではなくゼロである、と。

 加賀見会長もそうですが、言い切るところがかっこいいですよね。言い切って、その通り実行している。

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渡邊 働く側にとってもわかりやすいですよね、すごく。上司がそういう人だと働くことへのモチベーションも上がります。実際、社長になった気持ちで東京ディズニーランドを作ってやろうって思いましたよ。みんなそう思っていたからこそ、できたのかもしれません。

北原 そうですね。そういう言葉を浴びせてもらってこそ、もともとディズニー大好きな渡邊さんは、更に頑張ってこられたんだと思いますよ。