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安定成長実現に本気の中国政府〜中国出張報告〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

今週、北京・香港において、現地の当局者や金融市場関係者を訪問し、中国経済や政策・市場動向についてミーティングを行っている。2013年前半は中国経済の停滞が鮮明になり、日本など先進国とは対照的に、新興国株は調整し、新興国・資源国通貨も下落してきた。

その根幹には、中国経済の停滞が長期化、それが資源輸出国だけでなく昨年まで好調だったASEANにまで及んでいることがあった。「シャドーバンキング問題」が表面化、メディアを賑わせたことも、中国経済への投資家の不信感を強めた。

習近平体制となり政治体制が落ち着けば、経済政策も強化されるという期待も、昨年から一部ではあった。実際には、成長率の低下が止まらず、このまま停滞が浮き彫りになるシナリオに対しての懸念が強まり、株式・為替市場における「新興国売り」が進んだ。

ただ、中国の経済指標は、春先まで景気減速を示すものばかりだったが、底打ちのシグナルが夏場になって増えている。最も速報性が高い製造業PMIが2ヶ月連続で改善しているだけではなく、輸出や生産指数も上昇している(グラフ参照)。


李克強首相がGDPより重視していると発言した、貨物輸送や電力消費関連の数字も、最近、2、3ヶ月改善を示している(グラフ参照)。これらの経済指標の動きについて、筆者が面談者に質問すると、程度や継続性にニュアンスの違いはあるが、これらの動きを景気復調のサインとポジティブに評価する見方がほとんどであった。


中国経済底入れの兆候は、実は7月の李首相の発言から見えていた。7月初旬に、李首相は「経済成長率の下限を下回るのは許さない」と発言、その後「雇用確保には7.5%の経済成長が必要」「成長率の下限は7%」と具体的に言及。そして、2013年下期の経済政策の方針は、「適度に微調整を行い、経済の安定を保つ」とされた。

リーマンショック以降中国は景気回復を果たしてから、経済構造調整を進めることが、経済運営の基軸に据えられてきた。この方針は保たれているが、一方で安定的成長にも強く配慮をする、ということである。

7月に李首相が発言した時は、6月に短期金融市場で金利が急騰した直後で、首相の発言に対して解釈が分かれていた。ただその後、実際景気回復を示す指標が続いていることもあり、「安定成長への配慮」という政策転換で、これまでの減速が止まり安定成長のフェーズに入った、というのが、これまでの面談者でほぼ一致した見解である。

8月19日レポートで、新興国通貨が売られている中で、中国やブラジル株が底入れしていることに注目すべきと紹介した。この時のレポートでは、これは世界経済安定を反映していると考えた。それに加えて、安定成長に配慮する中国政府の政策転換という国内要因も、中国株反発の一因になっている。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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