2013年10月に開催が予定されている臨時国会で、6月にいったん廃案となった生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案の再提出が予定されている。政府案以外の選択肢は考えられないだろうか?

今回は、日弁連の改正案をもとに、生活保護法・生活保護制度の問題点がどう解消されるべきかを考えてみよう。

間近に迫る
生活保護法改正案の再提出

 2013年7月、参院選で自民党が圧勝した。生活保護問題に関心を向ける人々は、6月に廃案となった生活保護法改正案が国会に再提出され、今度は成立する可能性を危惧していた。その日は、遠くないかもしれない。

 2013年9月11日、「田村憲久厚労相が、生活保護法改正案・生活困窮者自立支援法案の早期成立に対する意欲を語った」という内容が、全国で報道された。北海道新聞によれば、以下のとおりである。

厚労相、生活保護関連2法案の早期成立目指す
(09/11 21:11)
 田村憲久厚生労働相は11日、生活保護の不正受給に対する罰則を強化した生活保護法改正案と、生活困窮者向けの自立支援法案を、秋の臨時国会のできるだけ早い段階で成立させたいとの考えを示した。視察先の埼玉県ふじみ野市で記者団の質問に答えた

 田村氏は「生活保護に入らない、または脱却するという意味で2法案は重要な役割を果たす」と強調。経済財政運営の指針である「骨太方針」に盛り込まれた生活保護の支給水準見直しについては「検討すべきものは検討しないといけない」とも述べた。

 政府案の問題点については、本連載で何度か指摘してきた。今回は、代替案の1つとして、日弁連(日本弁護士連合会)による「生活保障法案」を紹介したい。

現行生活保護法は
何が問題なのか?

 生活保護法の改正の必要性を感じているのは、政府だけでも、保守的な日本国民だけでもない。生活保護法旧法(昭和21年施行)と生活保護法新法(現行法、昭和24年施行)は、戦後まもない時期、文字通り「国民の生存を守る」必要性から生まれた。なお、生活保護法(旧法および新法)は、日本に公的扶助が必要であることを指摘した占領軍指令によって検討され始めたことと、現在の日本の社会保障の枠組みが米国からのスタッフたちの参画によって作られたことを、ここに特筆しておきたい。広島と長崎に原爆攻撃を行った当時の米国からも、日本の社会保障や公的扶助の貧弱さは、問題視されていたのである。