橘玲の日々刻々 2013年9月17日

中東シリアの終わりなき殺し合い
[橘玲の日々刻々]

 「あらゆる問題は解決されるべきだし、解決できる」と考えているひとがいますが、世の中には原理的に解決不可能な問題が存在します(というか、実はそれがほとんどです)。そしてここに暴力(とりわけ国家の暴力)がからむと、目を覆わんばかりの悲惨な事態を招きます。中東・シリアでいま起きていることはまさにその典型です。

 第一次世界大戦でオスマントルコが崩壊した後、中東はヨーロッパ列強の支配下に置かれ、歴史や文化、民族構成とは無関係に分割されました。この時期、フランスの委任統治領だった地域が現在のシリアで、アラブ人が人口の9割を占めるもののクルド人やアルメニア人もおり、国民の7割がイスラム教スンニ派ですが、2割はシーア派、1割はキリスト教徒です。

 シリアの政治権力を独占しているのはシーア派のなかでも少数派のアラウィー派に属するアサド一族で、空軍司令官だったハーフィズ・アル=アサドが1970年にクーデターで権力を掌握して以来、親子2代にわたって独裁政権を維持してきました。

 宗教的少数派であるアサド一族は、宗派を超えてアラブ民族の栄光を取り戻すことを目指す(汎アラブ主義の)バアス党を権力の基盤とし、イスラム主義による政教一致を求める多数派(スンニ派)のムスリム同胞団を徹底して弾圧してきました。シリアはエジプトに次ぐ中東の軍事大国ですが、アラウィー派のバアス党員で構成された最精鋭の共和国防衛隊や秘密警察は、“イスラム原理主義者”からアサド一族を守るための組織なのです。

 独裁政権による弾圧のなかで最大のものは1982年のハマー虐殺で、ムスリム同胞団の拠点であったハマーの町をシリア軍が攻撃し、多数の(犠牲者数の推計には1万人から4万人まで大きなばらつきがある)市民が殺されました。



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 <執筆・ 橘 玲(たちばな あきら)>

 作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券編』(以上ダイヤモンド社)などがある。ザイ・オンラインとの共同サイト『橘玲の海外投資の歩き方』にて、お金、投資についての考え方を連載中。

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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