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汚染水収束の“国際公約化”で
東電問題に集まる淡い期待

週刊ダイヤモンド編集部
2013年9月26日
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 「首相が“国際公約”にしてしまったんだから、もう事故処理はすべて東電で、とはならんでしょう」(経済産業省幹部)

 2020年の東京五輪の招致を決定づけたという、福島第1原子力発電所の汚染水問題をめぐる安倍晋三首相のスピーチ。「状況はコントロールされている」とした演説内容にはいまだ疑問の声も大きいが、東京電力を取り巻く関係者たちは一様にそれぞれが抱く淡い期待を隠そうともしない。

 その期待とは、今後国が関わりを強めることで、どん詰まりの東電再建問題が前進することだ。

 7月下旬に、汚染水の流出が公表されてから、国がようやく前面に出る姿勢を決めたのは、五輪開催都市決定直前の9月3日。地下水を遮る凍土壁、放射性物質の浄化施設の増設などに国費470億円を投入することが決まった。

 うち210億円の財源となる13年度予算の予備費は、「官邸だけが動かせる」(経産省関係者)ことからも、首相周辺が問題に本格的に乗り出したことがわかる。

 この財政出動で、東電の資金繰りは動きを見せつつある。

 東電は10月と12月に融資の借り換えを控えているが、業績改善の一手である柏崎刈羽原発の再稼働が見込めない中、国による財政出動は、金融機関側にとっては「安心材料」(銀行関係者)だ。国が面倒を見ていく限り、融資のリスクは着実に減るからだ。

 逆に、東電を管轄する経産省は金融機関に対する圧力を強めている。「銀行は稟議を通すのに1カ月もかかると言っているが、遅過ぎる。“半沢直樹”を見習ってほしいぐらいだ」(経産省関係者)。国費投入を機に、金融機関との交渉の早期決着を図りたい考えだ。

 そして、金融機関と経産省の両方が同じ期待を抱くのが、柏崎刈羽原発の再稼働だ。東電の短期的な財務問題は、国民の反対でハードルが最も高い原発の再稼働だけで一気に解決する。

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