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9月19日 18時0分
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慎重なFRBとドル円相場〜テーパリングが始まる条件〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

本日(9月19日)早朝公表されたFOMCでは、筆者を含め多くがテーパリング(tapering=量的緩和縮小)を予想している中で、これに反する格好で現状の政策継続が決定された。これをうけて、米国市場では、株式・債券・商品相場が急騰(金利は低下)、為替市場ではドル円が約1円ドル安円高に動いた(グラフ参照)。


今回のFOMCについて、筆者の予想が外れたことをまず謝罪させて頂きたい。その上で、筆者が、これまでどのようにテーパリング開始のタイミングを考えたかを振り返りながら、今後のFRBの政策について考えたい。

3か月前の6月FOMC後の記者会見で、バーナンキ議長は「2014年半ばに債券購入が終了する可能性(逆算すると、9月頃のテーパリング開始)」と言及したことをうけて、9月からの量的金融緩和縮小が強く意識された。

この時筆者は、バーナンキ議長がスケジュールを示したといっても、テーパリング開始の判断は経済指標次第で、当時は足元のGDPなどが減速するリスクが高いと考えていた。早くても、緊縮財政の悪影響がほぼなくなることが確認される、2013年末時点のテーパリングを予想していた。

その後、6月FOMCから日がたっていない7月10日に「金融緩和を継続する」とバーナンキ議長は強調した。マーケットで早期金融緩和縮小への思惑が高まり、それを牽制しながら、マーケットとのコミュニケーションをやり直し始めた。当時9月量的金融緩和縮小開始が多数派だったが、筆者は、年末までテーパリング開始は先送りになる可能性が高いと考えた(7月11日レポート)。

バーナンキ議長の発言への解釈で市場は揺れ動いたが、FOMCでは、経済指標の動きを事前の想定と比較して、テーパリング開始が妥当かが判断される。米経済指標でFOMCの判断が決まるのだから、筆者は発言よりも景気動向を注視していた。雇用統計は総じて堅調だったが、GDPの数字が下方修正されることなどから、9月時点での緩和縮小は難しいだろうと、夏の暑さが厳しくなる中で考えていた(7月19日レポート)。

その考えが変わり、9月テーパリング開始の可能性が高まったと判断したのは、8月上旬に判明した7月分の重要経済指標が揃って改善したことだった。具体的には、7月まで米製造業の景況感指数が悪化していたが、この背景には新興国経済の不調で、製造業の売上停滞が長期化していたことが影響していた。

ただ、国内の労働市場は堅調な回復を保つ一方で、停滞していた米製造業の企業景況感が7月から大幅な改善を示した(グラフ参照)。これは、欧州、中国でも同様だった。米経済にとって大きなリスク要因だった、新興国発の外的ショックのリスクが薄れ、米経済の回復が続く可能性が高まったと判断した。これらの経済指標を踏まえて、筆者は、9月テーパリングをメインシナリオに変えた(8月8日レポート)。


ただ実際には、バーナンキ議長を中心とするFOMCメンバーは、国内労働市場、そしてGDPをはじめとする経済指標の結果を最も重視していた。労働市場について、失業率はFRBの事前の想定より改善している。ただバーナンキ議長がFOMC後に言及したように、労働参加率の低下(人々が職を得ることを諦めて労働市場から退出している)が続いている。非農業雇用者数約+15万人/月かつ失業率低下では「労働市場の回復」と認識しがたく、約+20万人/月+失業率低下(+労働参加率の上昇?)という目線で、「労働市場の十分な回復」とFRBは判断するのかもしれない。

また、8月上旬に予想を変えた筆者の判断への自戒なのだが、FRBが予想を示しているGDPやインフレ率という定量データは、政策判断にとって重要である。今回FOMCでは、2013、14年のGDPの予想が引き下げられ、先に述べたとおり筆者はこれを重視していたが、企業景況感というサーベイ指標改善をうけて、軽視してしまったのが悔やまれる。

今後についてはどうみるか。FOMC後の記者会見で、バーナンキ議長は、テーパリング開始は6月に示したスケジュールに拘らないが、一方で年内開始もありうるとも発言した。結局これまでどおり経済指標次第である。同時に、最近の金利上昇の経済活動(特に住宅市場?)への影響、国債の債務上限問題にも言及した。

後者のバーナンキ議長が指摘した懸念点がクリアになるのは、早くて2013年12月FOMCと予想される。足元の、米国を中心とした世界経済復調の動きを踏まえれば、FRBが今回示した成長持続は可能だし、雇用者数の増加ピッチも高まるだろう。

一方、年末の量的金融緩和縮小をサポートする材料が出揃うまで、為替市場においてドル円の方向感は定まらないだろう。FRBの政策判断に対して、市場が疑心を抱く可能性もある。また、先週までサマーズFRB議長誕生を想定し上昇していた米長期金利は、当面低下する可能性がある。アベノミクスが発動された2013年に入ってからは円高局面は短期間で終わるが、目先については円高リスクに備えたい。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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