「ホワイトカラー(管理間接部門)業務にムダが多く、なんとかして改善したい」――そんな問題意識を持ちながらも、「過去にも業務改善に取り組んだが効果が上がらなかった」あるいは「何から取り組めばいいかわからない」と頭を悩ませている部課長は多いのではないだろうか。職場では具体的にどんな課題が存在し、何に取り組めば業務改善を実現できるのか。これまで多くの企業の業務革新をサポートしてきたシステム科学社長の石橋博史氏に話を聞いた。

オフィスにあるムダ、上位5位は……

石橋博史 株式会社システム科学 代表取締役社長
1962年から24年間、自動車機器メーカーに勤務し、教育担当、人事、総務、工場長、社長室の職務を歴任。1986年、システム科学を設立。業務革新の実践および「HIT法」の開発・導入、2010年2月に「業務プロセスの可視化法とチャート作成システム」で特許取得。

 ものづくり現場のムダは目で見てわかることが多いが、オフィスのムダは一見してわかりにくい。パソコンに向かって一心不乱に仕事をしている人が、実はとんでもなく非効率的な作業のやり方をしているかもしれない。多くの企業のオフィスでは、特定の業務がある担当者の頭の中だけに存在する、つまり「人に仕事がついている」状態になっているため、仕事がブラックボックス化してしまい、ムダがあっても周りの人が気付くことは難しい。

 具体的にオフィスの業務にはどのようなムダが潜んでいるのだろうか? 当社が企業に対して行った「組織のメタボリック診断」の結果(直近10社・2433人)から、ムダ(課題)の内容を知ることができる。

 オフィスにはさまざまな課題が潜んでいるが、上位5位は以下の通りだ。

●1位 会議運営の効率化
 時間の遅れや延長、資料作成や印刷、日程調整・変更、会議回数・出席人数の多さなど。
 ・会議は重要なコミュニケーションの「場」なのだが。

●2位 能力開発制度の改善
 能力開発制度があっても、実務に直結した育成が体系的・効果的に行われていない、そのために時代に適合できる人材が育っていない。特にスペシャリストの不足が常に問題となっている。
 ・人材は「育て上げるもの」だが。