マネタリーベースの増加にもかかわらず、マネーストックがあまり伸びていない。つまり、金融緩和政策は、期待どおりの機能を発揮していない。前回、このように述べた。こうなる原因は、貸出が期待どおりに増えないからである。以下では、この状況を見ることとする。

貸出残高が2013年4~6月期に減少

 金融機関の範囲として、ここでは国内銀行をとり、その銀行勘定を見ることとする。

 日本銀行の資金循環統計によって貸出残高を見ると、図表1に示すとおりだ。

 貸出残高は、2011年1~3月期以降順調に伸びてきた。しかし、13年4~6月期では減少した。

 これは、「異次元金融緩和政策によって日本経済が活性化しつつある」という一般に持たれている印象とは、逆方向のものだ。そして、金融緩和政策の評価にあたって重要な意味を持っている。そこで、以下に詳しく分析しよう。

 貸出残高の対前年同期増加額を見ると、図表2のとおりである。11年7~9月期以来プラスで推移してきた。しかも、増加額が増加してきた。

 しかし、対前期増加額で見ると、図表3のとおり、13年4~6月期においてマイナスとなったのである。

銀行の貸出増加は、<br />住宅の駆け込み需要がもたらしたもの