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岸博幸のクリエイティブ国富論

賃金が上がらないのは
政府と民間のどちらが悪いのか

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第241回】 2013年9月27日
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 政府が検討している成長戦略第2弾は、産業競争力会議で民間議員が主張してきたような構造改革とは正反対の方向性、政府による民間介入のオンパレードとなりつつあります。しかし、一概に政府だけを責めることは出来ません。民間の側にも大きな問題があるのではないでしょうか。

「民間への過剰介入」という成長戦略

 現在政府が検討している成長戦略第2弾の中身は、夏前までの産業競争力会議で民間議員が主張していた構造改革的な方向とは正反対になりつつあります。

・企業に投資を促すための投資減税
・過当競争の状態が続く業界の再編を促す減税措置
・賃金を上げた企業に対する法人税の軽減措置
・政労使協議での経済界に対する賃上げ要請
・企業単位で規制を緩和できる「企業特区」制度の新設
・ベンチャーキャピタルへの投資を円滑化する制度の創設

 と、本来自由であるべき企業活動にどんどん介入しようとしています。これだけを見ていると、アベノミクスは国家社会主義による繁栄を目指しているのかと疑いたくなります。

 しかし、過剰なまでの民間介入を目指す政府を一方的に非難できないのも事実です。今年の6月末時点で日本の全産業(金融を除く)が保有する現預金(=内部留保)は220億円と、日本のGDPの半分弱という、異常と言っていいくらいの規模になっています。

 それがどれだけ異常か、比較の例を出しますと、昨年末時点で米国の全産業(金融を除く)が保有する現預金は180兆円でした。経済規模が日本の2.5倍の米国の民間よりも巨額の現預金を溜め込んでいるのです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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