「マイナスにはなれ、メリットになることは何もない」

 「(携帯電話会社のような)下位レイヤーが独占あるいは寡占の場合は、上位レイヤーにおける自社サービスと他社サービスの公平性が確保されることが必要である」

 287のモバイル関連企業が組織するNPO「モバイル・コンテンツ・フォーラム」(以下MCF、座長・東邦仁虎東京理科大学教授)の岸原孝昌事務局長は6月5日、総務省の「通信プラットフォーム研究会」(座長・相田仁東京大学大学院教授)で、携帯最大手のNTTドコモが今月から導入するiモードの入札制を手厳しく批判、暗に総務省の介入による是正を促した。

メニューリストの掲載順を
入札額によって決定

 問題の入札制は、「プレミアムメニュー」という名称で、ゲームや着うた、占いなどのコンテンツを提供している事業者に、iモードの公式サイト上で多くの消費者からのアクセスが期待できる掲載位置を競わせようというもの。会議の席上でも、こうした商法について、「コンテンツ利用料を押し上げかねない」と懸念する声が出された。矢面に立たされた形の総務省は、2010年に通信・放送分野の関連法制の抜本改正を控えており、同省の今後の対応が注目を集めることになりそうだ。

 NTTドコモのコンテンツ&カスタマ部がコンテンツ・プロバイダー向けに配った文書によると、批判の的になった入札制プレミアムメニューは、「メニューリストの対象ジャンルに関し、第2階層の掲載順を入札にて決定する」というものだ。実際の入札事務は、ドコモが51%の出資をする子会社「ディーツーコミュニケーションズ」(以下D2C本社・東京都港区、ドコモ本体以外の株主は電通とNTTアド)が担当する。

 初回の入札は、6月10日から同12日までの3日間。落札者のコンテンツは、同23日から1ヵ月間、第2階層のよい位置に掲載されることになる。初回の入札対象は、「働く/住む/学ぶ」「着うたフル」「ゲーム」「占い」「コミック/書籍」など10ジャンルに限定するが、9月以降は「動画」「きせかえツール」など対象ジャンルを増やしていく計画となっている。