株式レポート
9月30日 18時0分
マネックス証券

株式市場と米国の政治混乱〜過去2年と同じ展開?〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

米国議会において、「オバマケア」に対して共和党が強硬な反対姿勢を続けており、政府機関閉鎖の可能性が高まったと先週末報道された。先週、米国議会でのこのゴタゴタが、米国株の押し下げ要因になったが、今週もこれが市場の悪材料になる可能性がでてきた(グラフ参照)。


誰も分からない政治混乱の顛末がどうなるかを予想して、ポジションをとるのはなかなか難しい。ただ、こうした米国議会における混乱は今回が初めてではないので、過去の経緯を踏まえて対処法を考えることができる。

9月24日レポートで、FRBが事前予想を覆す格好で量的金融緩和を維持し、この決断はほぼ1年前の2012年9月に反対意見が根強い中でFRBがQE3を決断した経緯と似ており、同様に今回の米FRBの金融政策の判断が、世界的な景気回復を支えリスク資産の価格上昇をもたらす要因になる、と述べた。

ただ、金融緩和強化の景気刺激効果は即現れない。実は、1年前にFRBがQE3を決断した2012年秋口に、市場の注目はFRBから米国の政治に移り、米国市場はこの要因で揺れ動いた。グラフは、先ほどのグラフを丁度1年間遡ったグラフである。具体的に、昨年11月の大統領選挙を巡り、共和党のロムニー候補が終盤に追い上げ、株式市場では「ロムニー勝利で株高」との期待がかなり高まった。


実際には、QE3直後に米国株は天井をつけた後、米国株はじり安となり、11月にオバマ大統領の勝利で米国株は更に下落した。ビジネスフレンドリーとされた(幻想だったと思うが)ロムニー氏が敗れ、更にはオバマ大統領続投で「財政の崖」問題で政治的に行き詰るとのストーリーがメディアで踊り、大統領選挙後数日間、米国株は売られ米国金利も低下したのである。

ただ結局、この2012年秋の政治への懸念に起因した株安は、押し目で投資する「おいしいチャンス」だった。その後、年末までずれ込んだ「財政の崖」を巡る協議も、妥協案が成立し最悪シナリオが払しょくされた。そして、FRBの量的金融緩和拡大の景気刺激効果を背景とした米経済を中心に世界経済の復調をうけて、米国株、長期金利は上昇を辿った。

米国の政治混乱がもたらす株安が買い場だったのは、米国政治の停滞がきっかけとなった2011年8月の「米国債の格下げ」がもたらした米国株の大幅下落も同様だった。結局、株式市場の趨勢は、世界の景気動向を反映する米国の企業利益の動きで決まる。2011、12年の米国の政治混乱は、米国経済や政策に決定的に悪影響を及ぼさず、押し目買いの機会を提供したわけだ。

さて、2013年はどうなのか?米国の政治事情がどうかは分からないが、基本的には過去2年と同様のパターンとみて良いのではないか。10月17日までに債務上限引き上げが決まらないと、国庫支払が枯渇すると米財務省が試算を示したが、この状況が10月半ばになり見えるまで、市場はなかなか落ち着かないかもしれない。

一方、政治要因よりも、リスク資産投資において重視すべきは、今年の夏場以降の大幅な金利上昇によって、米国経済が大きく減速に転じることだ。ただ、FRBの緩和継続で金利上昇に歯止めがかかり、また金利敏感セクターである住宅市場の減速も軽微である。現状「真のリスク」については懸念するほど深刻ではない。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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