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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

金融政策の「出口」の一考
~「2つの損失リスク」と「4つの出口策」~
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第112回】 2013年10月2日
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国債大量購入:
高橋財政期よりも強い
コミットメント

 現行の量的・質的金融緩和(以下、QQE)が4月4日に発表された際、市場が最も驚いたのは国債の買い入れ額の膨大さであった(図表1参照)。発行額の7割に相当する国債を、日銀は買うことになるからだ。

 金融緩和がデフレ脱却に奏功した例としてしばしば挙げられる高橋財政期(1932~36年)において、日銀は発行額の8割程度の国債を引き受けたとされる。しかし当時、今日の財政法は存在しておらず、国債の日銀引き受けは少なくとも違法ではなかった。

 しかも、それは売りオペを前提とする引き受けであった。実際、日銀は引き受けた国債の9割は市場に売っていた。

 一方、QQEでは「銀行券ルール」(注1)を一時停止させるなど、およそ国債の売りオペが想定されているとは思えない。この点で、今日ほど日銀が国債の大量買い入れに自らコミットしたことはないと言えよう。

注1:「金融調節上の必要から行う国債買入れ」(いわゆる輪番オペ)を通じて日本銀行が保有する長期国債の残高は銀行券発行残高を上限とするという考え方(2001年3月19日決定)。

国債買い入れオペ:
引き受けとの3つの違い

 むろん、日銀はQQEが「財政ファイナンス」を意図したものではないことを再三強調している。また、あくまで流通市場から国債を買うのであり、直接に国債を引き受ける「債務の貨幣化」(monetization)を意図していないとも主張している。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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