株式レポート
10月2日 18時0分
バックナンバー 著者・コラム紹介
マネックス証券

法人税引き下げを織り込んだ場合の日経平均株価 - 広木隆「ストラテジーレポート」

消費税増税の決定と米国連邦政府のシャットダウンで今年度下期の相場は幕を開けた。米国政府機関の一部閉鎖というリスクは、これまでに織り込み済みであったため、昨日の米国株は3日ぶりに反発した。それを受けて日経平均も小幅に反発して始まったものの、買いは続かない。それは、そうだろう。政府機関閉鎖は織り込んだとはいえ予算成立のめどは依然として立っていないのだから。それに加えて今後は、10月中旬に期限を迎える債務上限引き上げの議論が焦点となってくる。米国の財政問題は依然としてくすぶり続けるだろう。よってドルの上値も重く、日本株は最大の日本株買い材料である円安というサポートを期待しにくい。更に、消費税増税決定と同時に発表された景気対策パッケージの中身も、概要はこれまで報道されている通りで新味に欠け、かつ最終的な詳細は12月に決定される。目先は国内の政策面での材料も出尽くしである。

しかし、だからと言って日経平均が300円も売られるという法はない。時々、マーケットというのは理不尽な振る舞いをする。僕ら、マーケットに関わるものにとって、「マーケットがすべて」「市場が常に正しい」というのが金科玉条になっているが、僕はこれに時々逆らってきた。「市場も間違うことがある」と言ってきたのは、僕のレポートの読者ならよくご存知のはずだ。一昨日の300円安、そして今日の300円安も市場の過剰反応だと思う。今日、僕はインデックス・ファンドを買った。以前から買い続けているものをこのタイミングで買い増ししたのである。いいところを拾えたという自信はある。日経平均の1万4000円台近辺というのは、想定レンジの下限に近いと思うからだ。

今日の下げはテクニカル的なチャートの崩れが原因だろう。昨日、ニューヨーク金先物相場が大幅安となったので嫌な気がしていた。金先物は前日比40.9ドル安の1トロイオンス1286.1ドルで終え、一時1282.4ドルまで下落し8月8日以来、約2カ月ぶりの安値をつける場面もあったのだ。ファンドの大口売りがきっかけとされているが、単純にチャートの崩れではないかと思う。9月末の高値が25日線に抑えられ、終値は75日線でぴたりと止まっていた。昨日はその75日線を割り込んだところから下げが加速した。



日経平均も9月17日につけた安値(14311円:終値ベース)を切ってきたことで下げが加速、25日線も下回った。一目均衡表の基準線が1万4000円ちょうどなので、そこまで試しにいくかもしれない。しかし、まあ、そこまでが「いいところ」だろう。1万4000円以下ではバリュエーション的に割安感が台頭しよう。

今日付けの日経新聞・マーケット欄を開くと日経平均のPERは15.8倍とある。昨日の終値1万4484円でPERが15.8倍だから、EPS(1株当り利益)は

14,484円 ÷ 15.8倍 = 916円

である。僕は以前から述べているように、4-9月期の決算発表がまとまった後には、日経平均のEPSは1割程度上方修正されると予想している。ざっくり言って、1000円程度になるだろう。細かい議論はここではしないが、PERは15倍が妥当な水準である。

1000円 × 15倍 = 15,000円

が今後はレンジの中心になるだろう。だから、日経平均の1万4000円台近辺というのは、想定レンジの下限に近いと言ったのだ。反対に上値は1万6000円。PER16倍というのは妥当バリュエーションの範囲内でじゅうぶん届く。事実、先週つけていた1万4700円台は現在のEPSを基準にPER16倍であった。日経平均は年末までには1万6000円をつけて、5月につけた高値を抜けるだろう。

すでにアナリスト予想では日経平均のEPSは980円にまで達している。10月1日現在、クイックコンセンサスの日経平均採用銘柄の予想当期利益合計は18兆8661億円である。日経平均採用銘柄の時価総額合計は278兆9495億円だから、クイックコンセンサスをベースにしたPERは14.8倍である。

278兆9495億円 ÷ 18兆8661億円 =14.8倍

日経新聞社のPERとは1倍の開きがある。
14,484円 ÷ 14.8倍 = 978円

というわけだ。

さて、今後の焦点は法人税の引き下げである。現在の法定実効税率は38%である。法定実効税率とは、課税所得に対する法人税、住民税(地方税)、事業税を合算した総合的な税率であり、以下の式で計算される。

法定実効税率 = 〔法人税率×(1+住民税率)+事業税率〕÷(1+事業税率)

表面税率が法人税率:30% 住民税率:17.3% 事業税率:9.6%の場合、法定実効税率は

法定実効税率 = 〔0.3×(1+0.173)+0.096〕÷(1+0.096)≒40.86%

となる。日本の法定実効税率は、ちょっと前が40%で、今が38%、そして復興特別法人税が撤廃されれば35.64%になる。財務省HPに「法人税の国際比較」という資料があるが、そこで使われている日本の税率は35.64%である。

復興特別法人税は1年前倒しで13年度末に撤廃することを政府は検討する。問題はその後だ。首相は法人税の引き下げを「真剣に検討」というが、産業界からは欧州並に30%まで引き下げる要望が強い。税金の話は本当に難しいので、法人税の国際比較についてここでは論じることができない。法人税そのものの水準を単純に比較しても意味が無いのだ。法人税と間接税、及び国税と地方税のバランス、繰延税金資産・負債、特例措置など多角的に考慮する必要がある。しっかり勉強して別の機会に詳しく述べたいと思う。

ここでは法人税(法定実効税率)が仮に30%まで引き下げられたら、どれだけ株価に影響があるかを示す。昨年度の実績ベースで東証1部上場企業の経常利益合計は36兆5638億円(赤字企業を除く)であり、税引き後利益は 22兆38億円。法人税率40%として、ぴったり経常利益の6掛けの水準である。企業会計と税務会計の違いがあり、厳密に一致はしないが、だいたいのところはこの方法で把握できることが分かる。

現在クイックコンセンサスによる日経平均採用銘柄の予想当期利益合計は18兆8661億円であると述べた。予想経常利益合計は30兆9575億円であるから、これもぴったり6掛けの水準である。法人税が30%まで引き下げられたらこれが7掛けになるわけだから、当期利益は21兆6702億円になる。

そうすると、PERは

278兆9495億円 ÷ 21兆6702億円 =12.9倍

その場合のEPSは

14,484円 ÷ 12.9倍 = 1122円

と、優に1100円を超えてくる。PER 15倍で評価すれば1万6830円が適正値となる。

法人税の30%までの引き下げを想定すれば、日経平均を2000円押し上げる効果があるとの記事が本日の日経新聞に載っていたが、その根拠はここで示した通りであろう。

無論、法人税のさらなる引き下げは、あったとしても15年度以降の話だから今期の当期利益が拡大するわけではない。

法人税が30%に下がったら日経平均を2000円押し上げるインパクトがあるというイメージを持ってもらうために具体的な数字を使って説明した。その点をどうかご理解いただきたい。




(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

■ご留意いただきたい事項
マネックス証券(以下当社)は、本レポートの内容につきその正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。当社が有価証券の価格の上昇又は下落について断定的判断を提供することはありません。
本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であり、当社の意見や予測をあらわすものではありません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当画面でご案内している内容は、当社でお取扱している商品・サービス等に関連する場合がありますが、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。
当社は本レポートの内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。
本レポートの内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。当社でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動・金利の変動・為替の変動等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。また、発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、投資元本を割り込み、損失が生じるおそれがあります。信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
なお、各商品毎の手数料等およびリスクなどの重要事項については、マネックス証券のウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」(※)をよくお読みいただき、銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身のご判断で行ってください。
((※)https://info.monex.co.jp/policy/risk/index.html)

■利益相反に関する開示事項
当社は、契約に基づき、オリジナルレポートの提供を継続的に行うことに対する対価を契約先金融機関より包括的に得ておりますが、本レポートに対して個別に対価を得ているものではありません。レポート対象企業の選定は当社が独自の判断に基づき行っているものであり、契約先金融機関を含む第三者からの指定は一切受けておりません。レポート執筆者、並びに当社と本レポートの対象会社との間には、利益相反の関係はありません。

(マネックス証券)


マネックス証券
株式売買手数料(指値) 口座開設
10万円 30万円 50万円
100円 250円 450円
【マネックス証券のメリット】
日本株投資に役立つ「決算&業績予想」、信用取引ではリスク管理に役立つ信用取引自動決済発注サービス「みまもるくん」が便利。米国株は最低手数料5ドル(税抜)からお手軽に投資が可能で、米国ETFを通じて世界中に分散投資できる。投資先の調査、リスク管理、リスク分散など、じっくり腰をすえた大人の投資ができる証券会社と言えるだろう。一方、短期・中期のトレードに役立つツールもそろっている。逆指値ほか多彩な注文方法が利用できる上に、板発注が可能な高機能無料ツール「新マネックストレーダー」が進化中だ。日本株、米国株、先物取引についてロボットの投資判断を日々配信する「マネックスシグナル」も提供しており、スイングトレードに役立つ。
【関連記事】
◆AKB48の4人が株式投資とNISAにチャレンジ!「株」&「投資信託」で資産倍増を目指せ!~第1回 証券会社を選ぼう~
◆マネックス証券おすすめのポイントはココだ!~日本株手数料の低さ、ユニークな投資ツールが充実しているネット証券大手
マネックス証券の口座開設はこちら!

 

株主優待名人の桐谷さんお墨付きのネット証券!最新情報はコチラ!
ネット証券口座人気ランキングはコチラ!
NISA口座を徹底比較!はコチラ
株主優待おすすめ情報はコチラ!
優待名人・桐谷さんの株主優待情報はコチラ!

 

Special topics pr

ZAiオンラインPickUP
[クレジットカード・オブ・ザ・イヤー2017]2人の専門家が最優秀クレジットカードを決定! 2017年版、クレジットカードのおすすめはコレ! おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き その 【株主優待】最新の株主優待情報更新中! アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードは、 本当は“ゴールド”ではなく“プラチナ”だった!? 日本初のゴールドカードの最高水準の付帯特典とは?
ランキング
1カ月
1週間
24時間
じぶん銀行住宅ローン 「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」付帯サービスはプラチナカード顔負け!最強ゴールドカード 実力を徹底検証  アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!


 

12月号10月21日発売
定価730円(税込)
◆購入はコチラ!

Amazonで「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!


【株で資産倍増計画![2018年版]】
1億円に早く近づく厳選56銘柄を公開
億超え投資家資産倍増の極意
・今後1年の日経平均の高値&安値を大予測
プロが提言! 2018年に日本株を買うべき理由! 
・変化の追い風を先読み! 新デフレ&新興国株
・好業績&割安! 上方修正期待株&成長割安株
・第4次産業革命! 独自技術を持つ部品株
新iPhone上がる株 25
利回りが大幅アップ!「長期優遇あり」の優待株
・今買うべき新興国株投資信託ベスト25
ネット証券のサービスを徹底比較! 
・怖いのは死亡・入院だけじゃない!
「働けない」を 助ける保険! 
iDeCo個人型確定拠出年金老後貧乏脱出!

「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

Apple Pay対応のクレジットカードで選ぶ! Apple Payに登録して得する高還元率カードはコレ! 堀江貴文や橘玲など人気の著者のメルマガ配信開始! 新築マンションランキング