安倍首相が、来年4月の消費税率上げと、その経済への悪影響を緩和するための経済対策の概要を発表しました。その経済対策については、どうしても家計への補助や企業減税ばかりが目立つのですが、見逃してならないのは成長戦略がどう進化しているかです。

国家戦略特区での「ゼロ回答」

 消費税率を上げたら、当然ながら景気には悪影響が生じます。それを緩和するために経済対策を講じるのは当然であり、その中で低所得層に配慮し、短期的な景気落ち込みを防ぐために住宅ローン減税や公共投資を入れ、また成長を担う企業への減税を頑張ったことは素直に評価すべきです。投資や賃金を増やした企業だけが対象というのはちょっとイマイチですが…。

 ただ、経済対策では、そうした短期的な対策に加えて長期的な成長に向けた対策も大事であり、その中核となるべきは規制改革です。その中身がどうなっているかは、10月1日の産業競争力会議で決定された「成長戦略の当面の実行方針」に書かれています。

 そこでは、国家戦略特区による地域単位での規制・制度改革が一番最初に書かれており、政権の改革姿勢を示すものとして評価できます。しかし、問題はその中身です。

 国家戦略特区で具体的にどのような規制改革を行なうか(既存の規制の特例措置を講じるか)については、内閣府に設置されている国家戦略特区WGで検討されており、実行方針でも「特例措置を検討、具体化し、国家戦略特区法案を次期臨時国会に提出するなど、所要の措置を講ずる」とされています。