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シネマで学ぶ組織論

モーターサイクル・ダイアリーズ
―キャリアを考える

林 恭子 [グロービス経営大学院教員]
【第6回】 2009年9月17日
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グロービス・マネジメント・スクールで教鞭をとる林恭子氏が映画を切り口に、組織論の様々なテーマやフレームワークを紹介する連載。第6回は、「モーターサイクル・ダイアリーズ」で、キャリアについて考える。

 こんにちは。林恭子です。涼しい夏もあっという間に過ぎ、早くも風の中に、秋の訪れを感じるようになりましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょう。

 先日、電車の中で、スーツ姿のビジネスパーソンが「キャリアセミナー」と書かれたパンフレットを熱心に読んでいました。ふと目を上げると、雑誌の吊り広告にも、「キャリア」という文字が。そういえば、大学生が就職活動を始める時期でもありますね。

 今日は、そんな「キャリア」について、考えてみたいと思います。

キャリアとは

 キャリア。何気なく、良く口にする言葉ですよね。では、キャリアとは、一体何でしょうか?

 「私のキャリアは……」とか、よく使いますよね。その場合は、どうも職業のことを指しているようです。また、キャリア官僚とか、ノンキャリ、なんて言いますが、この時は、何か威信の高い特定の役割を呼んでいるようです。大学のキャリアオフィスは、進路相談をする場所。キャリアアップといえば(こういう英語はないそうですが)、出世すること。……色々な使われ方をしているようですね。

 キャリアの語源をさかのぼると、ラテン語のcurrus、「馬車」や、curraria、「馬車道」という言葉にたどり着きます。現在のような、雇用と結びついた使い方がなされるようになったのは19世紀になってからですが、careerを動詞にすると、「突っ走る、疾走する」という意味にもなります。

 馬車は、そこに乗って手綱を引く人がいないと、どこかへ向かって疾走することはできません。乗る人が、まっすぐ行ったり、右へ曲がったり、何らかの理由で方向を選んで馬車道を進んでいく。ふと後ろを振り返った時、遠くからずっと続いている車輪の跡が見える――。キャリアとは、馬車の手綱を引いてきた人にとっての、車輪の軌跡のようなものだと例えられたりします。

 つまり大きく捉えると、キャリアは職業や役割という意味を示しながら、人生に重なるものとも考えられますね。MIT(マサチューセッツ工科大学)の大御所、E.シャイン教授も、キャリアを「生涯を通じての人間の生き方、表現の仕方」であるとしています。また、心理学者のA.G. ワッツも「これからのキャリアは仕事と学習を通して、生涯に渡って個人が前進していくこと」だと述べています。

 そして人生の意味合いは、どこか旅とも通じていますね。

 世界を見て、人と出会い、様々なものを味わい、感じ、経験し、その中でだんだんと、自分というものが分かってくる。そして自分が成長していく。今日、ご紹介する映画は、そんな、旅する人の物語です。

エルネストの旅

 映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」は、2004年の作品です。製作総指揮は、優れた作品を世に送り出すことで定評のあるロバート・レッドフォード。主役を演じたガエル・ガルシア・ベルナルにとっては、その存在感を世界に示す素晴らしい作品となりました。

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林 恭子 [グロービス経営大学院教員]

グロービス経営大学院教員・(株)グロービス 経営管理本部 本部長。筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程前期修了。モトローラにてOEMを担当した後、ボストン・コンサルティング・グループの人事担当リーダーとして幅広く人材マネジメントに携わる。現在はグロービスにて経営管理全般を統括、兼任でグロービス経営大学院の教員としてリーダーシップ、ダイバーシティマネジメント、キャリア開発等の領域を担当。企業研修、講演も多数。共著書に『【新版】グロービスMBAリーダーシップ』(ダイヤモンド社)、『「変革型人事」入門』(労務行政)、『女性プロフェッショナルたちから学ぶキャリア形成』(ナカニシヤ出版)。
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シネマで学ぶ組織論

グロービス・マネジメント・スクールで教鞭をとる林恭子氏が映画を切り口に、組織論の様々なテーマやフレームワークを紹介する。(グロービス・グループ「GLOBIS.JP」の提供)

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