株式レポート
10月7日 18時0分
マネックス証券

リスクをとれるチャンスかを考える - 村上尚己「エコノミックレポート」

9月30日レポートで、米国議会の混乱に起因する政府機関閉鎖・債務上限問題の結末を予想するのは難しいが、過去2年は同様の政治に起因する市場の動揺がリスク資産投資の機会だったと述べた。先週の米株市場は、債務上限問題を巡って日々上昇・下落したと解説された。ただ、実際には債務上限などを巡るニュースが、なぜ米国株の買いあるいは売り要因なのかすら、まともに解説されない日も目立った。

日経電子版(10月7日)では「米投資家の不安心理を測るVIX指数(通称・恐怖指数)が一時、3か月ぶりに18台に上昇」など、市場の危機感が強まっていることが伝えられている。実際には、多くの投資家は、毎年繰り広げられる政治ショーに呆れながらも、不確実性が高いため、ポジションの構築に踏み切れないというところだろうか。このため、9月18日FOMC直後が依然米国株の高値となっている(グラフ参照)。


ただ言うまでもないが、投資リターンを高めるには、何らかのリスクをとる必要がある。政治が不確実要因となる今の局面で、リスクテイクできるかを判断するうえで、いくつか材料がある。まず、米国など9月分の経済指標は、(雇用統計はいつ発表されるか依然分からないが)概ね悪くない(10月2日レポート参照)。世界経済の安定が続いており、このファンダメンタルズに対して「順張り」で投資できる局面である。

また、経済指標以外に、新興国の株式や通貨の動きも注目できる。9月17日レポートなどで説明したが、2013年前半は新興国経済停滞が世界経済の足を引っ張っていたが、夏場から、新興国の株式が反発、先進国株式をアウトパフォームした。そして9月に入って、為替市場では大きく売られていたレアルなどの通貨が買い戻されている。

先のグラフで示したように、危機の震源地と報じられている米国で、株価はFOMC直後から調整しているが、約2%低下しているに過ぎない。また、米国の10年金利は先週2.6%台で安定して推移した。

そして、新興国株はいくつかの地域で先週反発、新興株MSCI指数は、FOMC後の高値からの約1%の調整に止まっている。先週は、インド株や台湾株が反発、香港・韓国株もほぼ横ばいで推移した。

また、新興国株と同様に、8月まで大きな売り圧力に直面していた、資源国・新興国通貨の代表格であるレアルや豪ドルも9月FOMC後が一旦天井となり調整に転じたが、先週下げ止まりFOMC後と同水準まで戻りつつある(グラフ参照)。これらから判断すると、世界の中で、最も警戒すべき地域だった新興国発の下振れリスクは引き続き和らいでいる。


以上を併せて考えると、日経新聞が伝えるように、債務上限問題を背景に恐怖指数の上昇が示すような危機が迫っており、世界のマーケットが混乱しているようには見えない。むしろ、ファンダメンタルズを重視し、リスクをとれるチャンスだと思われる。

なお、9月18日FOMCからの下落率が大きいリスク資産として、日本株と金先物価格が挙げられる。これらの調整については、いろいろ見方があるだろうが、いずれも独自の要因で「下げるべくして下げた」と筆者は考えている。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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