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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

“日本の優等生” 新日鉄は「真のグローバル企業」になれるか?

――「鉄は国家なり」から「鉄は世界なり」の時代へ

永沢 徹 [弁護士]
【第23回】 2008年3月28日
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 3月25日、日本最大手であり世界第2位の製鉄メーカーである「新日鉄」が、ブラジルで海外初の高炉建設に踏み切るという報道が流れた。2011年の稼動を目指しているとされており、とすれば1971年の大分製鉄所以来、40年ぶりの新高炉建設になるという。当初、実質傘下に置く「ウジミナス社」(ブラジル)が単独で建設する方向で進んでいたとのことだが、今後も続く世界的な需要に対応するため、新日鉄はついに自ら主導権を握り、“自前”の高炉として建設することに踏み切るようである。

 新日鉄は、1901年(明治34年)の「官営八幡製鉄所」に始まり、100年以上の歴史を刻む、日本でも有数の老舗企業である。これまで新日鉄は、あえて直接の海外進出はしてこなかった。現地の鉄鋼メーカーと業務提携を行なうことによって、間接的に自社の製品を海外に提供してきたのである。その新日鉄が本格的な海外進出へ舵を切ったのはなぜか?それはここ1~2年の新日鉄の動きを見ればわかる。

国内外の提携強化を
早急に押し進める新日鉄

 新日鉄のここ数年の動きでキーワードとなるのは、「戦略的な連携の深化」と「株式の相互取得」である。海外ではPOSCO(韓国)、国内では住友金属・神戸製鋼と、いずれも株式の相互取得を含めた提携を進めている。鉄源設備の共同利用なども進めており、事業的にもシナジーを描いている。ただ、連結子会社にするとか、経営統合するとかといったところまでは踏み込まず、それぞれ独立性を発揮したうえで、「いざという時になったらお互い守り合おう」というメッセージが汲み取れる。

 その流れとは別に、海外を含めたM&Aの充実も進めている。例えば、ウジミナス(ブラジル)の持分法適用会社化、サイアム・ユナイテッド・スチール(タイ)の持分法適用会社化、王子製紙の子会社化、合同製鉄の持分法適用会社化などが矢継ぎ早に行なわれている。また自社株の買い増しも進めている。

 もともと、上流(資源会社)も下流(自動車メーカー/造船会社など)も寡占化がかなり進んできている中で、鉄鋼業界というのはまだ鉄鋼メーカーの数も多く、集中度が少ないといわれている。日本のシェアは世界の10%程度であり、そのうち新日鉄のシェアは3割程度。とすると世界第2位の鉄鋼メーカー・新日鉄といえど、世界の3%程度のシェアしか持っていないのである。そういう意味では、国内における住友金属・神戸製鋼との「戦略的な連携の深化」、そしてPOSCOや上海宝鋼集団との連携も自然な流れであるといえる。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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