重要なのは着想のきっかけづくり

──何度か言及されているように、サービス産業には中小企業が多いという現状があります。国は今後、中小企業をどのように支援していくのでしょうか。

 従来の中小企業支援策は、ほとんどが金融政策でした。補助金などを出し、資金繰りをよくして、経営を安定させるという考え方です。それが最近になって、ノウハウやスキルを提供して経営改善の支援をしようという方向に変わってきました。税理士や弁護士、あるいは信用金庫、信用組合、それらが持つノウハウを経営に生かしてもらおうということです。

 しかし、サービス産業の付加価値は経理的視点から生まれるものではなく、あくまで戦略的視点から生まれるものです。バランスシートをつぶさに見つめることも重要ですが、付加価値を生み出すアイデアを求め続ける、経営者の主体的な姿勢が重要ではないでしょうか。

 だからこそ私は、「おもてなし経営企業選」のような「実例集」が大切だと思うのです。具体的事例を示し、着想のきっかけを提供する。そのような支援策を今後も続けていくことが重要だと考えます。

──経産省としては、「おもてなし」という言葉を、どのように社会と共有していくつもりですか。

 「おもてなし経営企業選」でいうところの「おもてなし」は、非常に広い意味を持っています。おもてなしというと、ホテルや旅館のホスピタリティなどがすぐに想起されますが、それよりも広い構えでこの言葉は捉えられる必要があると思います。ホスピタリティはもちろん、ストーリー、歴史、地域性、人──。それらすべてを含むものがおもてなしであると私は考えています。まずは、それらの要素がすべておもてなしとなり、サービスの付加価値になるのだという気づきを促していくことが必要だと思います。その点でも、「おもてなし経営企業選」の役割は大きいのではないでしょうか。

 従来の政策や「おもてなし経営企業選」のような新しい取り組みをうまく組み合わせながら、今後もサービス産業の活性化を推進していきたい。そう考えています。

 
[制作/ダイヤモンド社 クロスメディア事業局]