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米国では今や語学教育の代名詞!
ロゼッタ・ストーンが掘り当てた鉱脈

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第43回】 2009年5月13日
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 外国語学習のソフトウェア開発会社、ロゼッタ・ストーンが、このご時世にIPO(新規株式公開)を果たし話題になっている。

 ロゼッタ・ストーンがナスダックに上場を果たしたのは、4月16日のこと。不況の影響でIPO市場はカラカラに枯れ果て、今年に入って株式を公開した企業はそれまでに3社しかなかった。同社はそんな中で、当初想定の15~17ドルを超える18ドルで新規株式を売り出しただけでなく、初日に40%も株価が上がるという快挙を成し遂げた。株価は現在もジワジワと上昇を続け、5月6日時点では30ドル近辺で推移している。

 これを見て、いよいよ米国経済も上向きに転じたかという気の早い見方もあったが、それは早とちりと言うしかないだろう。IPOが成功したのは、何よりもロゼッタ・ストーンの堅実なビジネス・モデルによるところが大きいというのがもっぱらの評価である。

 ロゼッタ・ストーンが外国語学習ツールとしてユニークなのは、文法や辞書、母国語による翻訳テキスト・ブックを用いない点である。同社では、これを「ダイナミック・イマージョン」と呼んでいる。

 たとえば、トルコ語版のデモを見てみよう。最初に4人の顔写真が出てくる。大人の男女、子供の男女である。それぞれの名前や主語を最初に覚えたところで、次のスクリーンでは簡単な動詞が加わる。食べる、本を読む、会話するといったような内容で、それぞれの登場人物がその動作をしている写真が出てくるのだ。

 ステップが進むにつれ、主語が複数形になり、動詞も変化する。ソフトウェアの音声がどれを示すのかを正しくクリックすれば、次のステップに進めるという仕組みだが、絵を見ながら実際の状況を判断し、それを言葉とつなげていくという脳の働きは、現実世界の中で赤ちゃんが言語を習得していくのと同じ方法と言えばいいだろうか。直感を働かせながら、システマティックに言語を自分の中で構築していくというアプローチである。

 デモを体験してみて意外に思ったのは、コンピュータから出てくる音声が非常にクリアーに聞き取れることだ。ステップが進むと、音声認識がこちらの発音の正誤を判断してくれる仕組みもあり、本物の先生を目の前にしなくても、ソフトウェアが外国語学習をかなりの部分まで担えるようになっていることが実感できる。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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