妨害者の声は小さくなり、賢者の声が大きくなった

 悲しい子ども時代から長い年月が過ぎ、30代半ばになった私は強力な「裁判官」と「理屈屋」という二人の妨害者を発見した。生き延びるために不可欠だった、目に見えない旧友である。そしてこの二人が、さらなる成功と幸福を手に入れる最大の障害になっていることにも気づいた。

 本書『スタンフォード大学の超人気講座 実力を100%発揮する方法』で説明したPQ運動を実践することにより、私は二人の妨害者をそろってPQフィットネスのトレーナーに変えることに成功した。彼らが姿を表すたびにPQ運動を行い、彼らに対抗するための筋力をつくろうと努力した。今でも二人の声が脳内に響くことがある。メッセージは同じだが、その声はほとんど聞き取れない。ささやくような声で、賢者の声をかき消すことはもはやない。

 一方で、賢者の声は前より大きく、力強くなっている。仕事にしろ家庭にしろ、どれだけ「悪い」ことが起きるかによって、妨害者に心を乗っ取られてしまうこともときにはある。だがそういう状態が数分以上続くことはまずないし、すぐ賢者モードに戻れる。今もPQ運動は続けている。体力を維持するのと同じくらい、PQ脳の筋力を維持することは大切だ。今ではPQ運動が非常に楽しく、待ち遠しくてたまらない。二度とPQ脳の筋肉をたるませたくないと思う。

 忙しいからPQ脳の筋力強化に取り組む余裕なんてない、という妨害者の声にだまされてはいけない。毎日やっていることをほんの少し見直すだけで、PQ運動一日100回は達成できる。

 そんな面倒くさいことをしないでも、外的な条件の改善や業績をあげることに集中したほうが幸福や成功を手っ取り早く手に入れられる――そんな妨害者の言葉にも気をつけよう。状況や成績はいずれ消えていく。だが妨害者の力から賢者の力に切り替え、PQ筋力を鍛えることは何ものにも代えがたい。この切り替えがなければ、どんなに見事な城をつくりあげても砂上の楼閣となって流れ去ってしまうのだ。

 私が指導し、毎日100回のPQ運動を21日続けた人のなかに、人生が大きく改善されなかった、あるいは人生が変わったと思えなかった人は一人もいない。自分自身のためにも、同僚や仲間、家族のためにも、あなたが彼らと同じ道を選ぶことを願ってやまない。


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