ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週の音盤=心のビタミン ビジネス・パーソンのための音楽案内

【上原ひろみ「アナザー・マインド」】
あらゆる感情、心の揺らぎをピアノで綴る

小栗勘太郎 [音楽愛好家]
【第70回】 2013年10月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 世に『10で神童、15で才子、20歳過ぎればただの人』と言います。

 詩人ジャン・コクトーが描いた『恐るべき子供たち』のダルジュロスも、歳を重ねれば常識に囚われ普通の立派な大人になってしまうことを直感的に知っていました。それが故に、大人になることを頑なに拒否して、悲劇的な結末を迎えたわけです。

 しかし、時には、20歳を過ぎても、神童がそのまま大人になって輝き続けている場合があります。そんな人には独特のオーラがあります。周りを明るくするチカラに満ちています。そして、解き放つエネルギーの量はもの凄いものがあります。だから、そのエネルギー放射を受けると、ただの人でも何がしかの恩恵を蒙るような気持ちになるものです。

 と、いうわけで、今週の音盤は、上原ひろみ「アナザー・マインド」(写真)です。

神童の登場

 「アナザー・マインド」は、2003年、上原ひろみ24歳の時に、ジャズの老舗テラーク・レコード社から発表されました。日本国内向けの発表ではなく、米国を中心に世界デビューを飾ったわけです。

 この音盤の発表以前、上原ひろみはジャズ界では知る人ぞ知る的な存在ではありました。

 が、多くの人にとっては、その名前は聞いたことがありませんでした。しかし、この音盤が世に出ると、凄いジャズピアニストがいる、と内外で大変な話題になりました。少女の如きあどけなさの残る若き上原ひろみ。彼女が創った誰にも似ていない音楽の素晴らしさが、世界の音楽ファンを驚嘆させました。

 この音盤を言葉で描写するのは大変難しいです。

 何故ならば、この音盤に刻まれている音楽は、音楽でしか表現できない種類のサムシングだからです。

 要するに、感情の生き物である人間には様々な感情が宿ります。愛情、友情、嫉妬、失望、希望、落胆、苦悩、感動、驚愕、歓喜、悲哀等々です。それらの感情の核心にある心の動きというものは、人類が言葉と出会う以前から存在しているものです。言葉にすると、その言葉の端から心の機微がこぼれ落ちてしまいそうです。

 この音盤は、そんな心のゆらぎをピアノで綴(つづ)っています。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

小栗勘太郎 [音楽愛好家]

1958年生まれ、牡羊座のB型。某国立大学卒、米国滞在5年。公僕を生業とする音楽愛好家。著書は『音楽ダイアリーsideA』 『同sideB』(西日本新聞社)。『毎日フォーラム』誌にて「歴史の中の音楽」を連載中。


今週の音盤=心のビタミン ビジネス・パーソンのための音楽案内

ビジネス・パーソンは日夜、現場で闘って、日々、喜怒哀楽を感じる。実は音楽の現場も同じだ。だって、音楽もビジネスも、所詮、生身の人間が作る、極めて人間くさい営みだから。音楽には妙な薀蓄など不要かもしれないが、音楽が生まれる時には物語がある。それを知って聴けば、喜びが倍になり、悲しみが半分になるかもしれない。毎週1枚、心のビタミンになるような音盤を綴ります。

「今週の音盤=心のビタミン ビジネス・パーソンのための音楽案内」

⇒バックナンバー一覧