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金融市場異論百出

商品市況を押し上げるのは誰か? 投機主犯説に懐疑的な金融当局

2008年7月10日
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 「もし議会が投機を規制する法案を通過させたら、ガソリン価格はほんの数週間で50%下落するだろう」。6月23日の米下院でヘッジファンド・マネジャーのマイケル・マスターズ氏はそう証言した。

 彼は5月に上院でも、石油等の価格上昇の主因は“インデックススペキュレーター”(商品先物を買う機関投資家)にあると発言した。米議会は先物取引の規制を強化する法案作成に動いている。

 これをポール・クルーグマン・プリンストン大学教授は激しく批判している。「議会はいつも、彼らが聞きたいと思っていることを話してくれる“専門家”を招く」「投機が石油価格を上昇させているかって? 問題外だ。マスターズ氏をあざけり笑うエコノミストは正しい」(「ニューヨークタイムズ」6月27日付)。中国等の需要の強さから考えて、長期的な価格トレンドは確実に上昇していくという。

 国際機関や中央銀行の見方はどうだろうか? FRBが昨年来大幅に政策金利を引き下げたために、ドルに自国通貨をペッグしている国々では実質金利が大きく低下した。その金融緩和効果が世界の需要を増大させ、商品市況を押し上げていることは彼らも認識している。しかし、ヘッジファンドによる“投機主犯説”には彼らは懐疑的なスタンスを示している。

 トリシェECB総裁は、6月下旬に欧州議会で「投機が主要な犯人とは確信できない。大事な問題は、需要と供給に関連している」と発言した。投機抑制目的の税金を課そうという案が出ているが、総裁はそれに反対している。

 6月30日発表のBIS(国際決済銀行)の年次報告書によれば、中国の石油に対する需要はいまや日本と韓国を合算した需要を上回り、太平洋地区のOECD国の合計に近づきつつあるという。「商品価格はエマージング市場経済諸国、特に中国によって支えられ、それは継続するだろう」。

 IMF(国際通貨基金)は7月1日に「石油と食料の価格は穏やかな程度しか下がらない」と発表した。「純粋な金融要因は短期的には価格に影響を及ぼしている。だが、価格トレンドにインパクトを与え続けていると立証することは困難だ」。IMFは各国に一般物価の上昇を避けるための金融政策(金利引き上げ)を推奨している。

 食料・燃料の高騰は多くの発展途上国の人びとを危機的な状況に追い詰めている。各国政府は対策を求められている。先物市場の監視強化がそれにいくらか役立つならよいが、クルーグマン教授が言うように、投機に原因を求め過ぎると、現実の問題からわれわれの関心がそれてしまう恐れがある。

(東短リサーチ取締役 加藤 出)

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