原発内の燃料プールは7割
六ヶ所再処理工場も満杯状態

 “脱原発”の根拠としてよく挙げられるのは、発電後に残る「使用済燃料」の存在だ。“核のゴミ”と揶揄する人も少なくない。現在、日本国内に1万7000トンある。

 大半は再利用可能で、原油換算で15~23兆円分(1バレル当たり7200~1万1000円)に相当し、日本国内の原子力発電電力量の5年分、総発電電力量の1.5年分を賄うことができる量だ。『リサイクル燃料』とも呼ばれるのは、そういう理由による。

 原子力発電で使われる核燃料のウランは、発電後に使用済燃料となる。これは、再利用できるものとそうでないものに分別することができる。使用済燃料の95~97%は消費されなかったウランや新たに生成されたプルトニウムであり、リサイクル利用ができる。

 これを使用済燃料から取り出すことを「再処理」、再処理をして新たに造られる燃料を「MOX燃料」、これを再利用する一連の流れを「核燃料サイクル」(図1)と言う。

 原子力発電所の使用済燃料からは崩壊熱と放射線が出るので、所内で保管しておく必要がある。現在は、所内にあるプールで冷却しながら保管する方法が主流だ。

 所内のプールの容量には限度があるため、原発の運転を継続するには使用済燃料を他の場所へ搬出しなければならない。主な行き先は、青森県六ヶ所村にある再処理工場だ。全国の原子力発電所の使用済燃料プールは全体として約7割が既に埋まっており(図2)、六ヶ所再処理工場の燃料プールもほぼ満杯状態にある。