どれだけ頑張って飛び込み訪問をしても、大企業の取引口座は取れません。大企業を対象とした新規開拓営業こそ、前述の「集客」のプロセスが大切だからです。それに、きちんとした会社案内も必要です。

 なぜなら、次の異なる意思決定権者を説得するツールが必要だからです。

(1)購入するモノを選定する人
(2)購入するかどうかを決める人
(3)どこからいくらで購入するかを決める人

大企業ではこれらを決定する人がそれぞれ異なる部署に所属しており、彼らを説得できるツールを、こちら側がきちんと準備しておかなければならないのです。

小さな会社こそ法人市場で勝負すべき

 これまで述べてきたように、法人相手の商売はリピート受注が見込め、自社の知名度がなくても業績を伸ばすことができます。また、手離れもよく、買い手優位の法律に制約を受けることもありません。したがって、中小・零細企業こそ法人市場で勝負すべきです。

 そもそも、世の中の大半が法人相手の商売(B2Bビジネス)を行っている会社です。

 普段、私たちがテレビCMなどで目にするのは消費者相手の商売(B2Cビジネス)の会社ですが、日本の企業数を比べると9対1くらいの割合でB2Bビジネスのほうが多いと言われています。試しに新聞の株式欄を見れば、上場企業だけで比べても、B2Bビジネスの会社のほうが圧倒的に多いことがわかるでしょう。

 そう考えると「消費者市場は大きく、法人市場は小さい」というのも誤解であることがわかります。扱う商品やサービスにもよりますが、法人相手の商売はマーケットも大きいのです。

 にもかかわらず消費者市場のほうが魅力的に見えていたのは、前回述べたような「3つの誤解」があったからだと思います。その結果として、法人営業の会社が不慣れな消費者市場に手を出して失敗するケースが後を絶たなかったのです。

 しかし、すでに述べた通り、きちんと「集客」さえできれば、新規開拓はB2Cビジネスよりも簡単ですし、たとえ大企業が相手でも、やはりきちんとプロセスを踏めば取引に至るのは難しくありません。また、集客したターゲットが適切であれば、不必要な値下げ要求を受けることもありません。

 要は、B2Bビジネスの新規開拓はやり方がすべてなのです。