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編集者が語る『兵法三十六計 かけひきの極意』

【第25回】 2008年5月19日
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 兵法と言えばクラウゼヴィッツと孫子。その程度の知識でしたが、中国にはもう一つ有名な兵法があると聞き、それが本書の兵法三十六計です。おなじ中国でも三十六計は孫子の兵法と違って、作者不明で、中国民衆の中から自然と生まれたものと言われています。

中国人の行動パターンの前提に
こんな考え方があった?

兵法三十六計
ハロー・フォン・センゲル著/石原薫訳
ダイヤモンド社刊 1600円(税別)

 三十六計は一言でいうと、人と対峙するときの計略や策略のことで、それぞれ漢字3文字か4文字で表わされています。たとえば、第十三計「打草驚蛇」(だそうきょうだ)は、「草を打って蛇を驚かす」という意味で、直接相手(蛇)を攻撃するのではなく、相手の近くにあるもの(草)を攻撃することで、相手に脅威を与えることです。このように、三十六の「かけひき」が体系化されているのが兵法三十六計です。

 こう書くと、いかにも打算的で抜け目ない戦法と思われるでしょう。また相手を出しぬくための知恵のようで、どこか「ずるさ」も感じるかもしれません。しかし、見方を変えれば、僕ら日本人も違った意味で他の国から見れば「ずるい」と思われていることを日常的にやっている可能性はあります。特にスポーツなどでそれは顕著になり、欧米の人は体重を問わずに競う「相撲」のルールに不公平さを感じるようです。

 本書の三十六の計略を読むと、人の目をくらます方法ばかりで、中国人に対して警戒心を強めることにあるかもしれません。ですが、もう一方で、彼らが悪気があってそういう方法を使うのではなく、自然と染み付いた思考パターンだとして受け入れる読み方もできるのではないでしょうか。

 さらに言うと、僕ら日本人も日常的に平気で三十六計を使っていることに気がつきます。第十四計「借屍還魂」(しゃくしかんこん)は、いかにも役に立ちそうにないもの(屍)に手(魂)を加えて、あたかも価値があるように見せることを意味します。これって、「懐かしの80年代が蘇る!」なんていうコピーの効果と同じですよね。

 今年は、冷凍ギョーザ事件から始まって、北京オリンピックなどもあり中国は話題が豊富です。そこで兵法三十六計を知ると、違った見方もできるでしょう。一方で本書では、「策略がないのに疑う愚かさ」にも触れています。バランス感覚も大事なようです。

(編集担当 岩佐文夫)

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