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10月23日 18時0分
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ドル円を動かす要因〜FRBを巡る思惑は仕切り直し、次は何で動くか〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

昨晩(10月22日)発表された、9月分の米雇用統計は前月差+14.8万人増と市場予想を下回った。7-9月平均でみても雇用の伸びは+14万人程度に止まり、2013年1-6月の約+20万人増のペースから伸びが鈍化している。

2013年6月半ばにバーナンキ議長が量的緩和策縮小を始める見通しを示したが、米経済、雇用の回復が緩やかに止まり判断は先送りされた。バーナンキ議長やFRB関係者の発言などから、量的金融緩和縮小開始が今後2、3か月で決断される可能性は低い。雇用者の数字だけではなく、労働参加率や賃金という労働市場の指標を幅広く含めてFRBは判断する可能性がある。

昨晩の雇用統計では、労働参加率は、8月から若干戻しただけで低下トレンドが続いていることが確認された。足元の景気指標の動きを踏まえると、FRBの量的金融緩和縮小を2013年内に始めるのは難しくなり、量的金融緩和縮小が遠のいたと言える。

2014年にイエレン新議長が誕生した後に、政府機関閉鎖や歳出削減の悪影響を見極め、そして新体制で量的金融緩和縮小の判断基準を含めて、議論を一からやり直すことになるのかもしれない。雇用指標、経済成長率、インフレなどすべての経済指標の回復が期待できる、2014年春先まで量的緩和縮小に手をつけるのは難しい。

米国の債券市場では10年金利は2.5%と大きく低下し、7月末以来ほぼ3か月ぶりの水準まで下がった。9月初旬に、早期金融緩和縮小、サマーズ新議長誕生の思惑で、長期金利は約3%まで上昇したが、「行って来い」の格好で7月末の水準に戻っている(グラフ参照)。


もっとも量的金融緩和縮小が遠のいたといえ、米長期金利が2013年前半の水準である、2%台前後まで低下するまで可能性は低いだろう。景気指標は足元で改善がやや止まっているが、総じて回復は保っている。リスクだった中国など新興国の経済が安定し始めたこともあり、米経済が失速する可能性は低い。

先のグラフで示したとおり、米長期金利とドル円をみると、2013年6月からは両者は総じて同様に動いていた。FRBの量的金融緩和縮小が遠のいたことで円高を見る向きもある。ただ、米長期金利の水準が下がる余地が小さいとすれば、米国要因で円高ドル安が進むのは、最近の債務上限問題などの様に、為替市場が一時的に反応する時くらいではないか。

FRBを巡る思惑で揺れ動いたドル円相場は一旦節目を迎え、世界経済の安定が続く中で、イエレン新議長体制が緩和縮小を始めるタイミングを改めて探る展開になる。2014年年初まで米経済や金利の方向感がはっきりせず、米国要因ではドル円はあまり動かなくなり、90円台後半の狭いレンジで推移が続くとみられる。

そうなると、ドル円相場の変動要因が米国から、日本の景気見通しや政策に移る可能性がでてくる。先のグラフで示したように、2012年末から2013年前半のドル円相場は、アベノミクス発動と日本銀行の金融政策の転換、が大幅な円安をもたらす材料となった。

安倍政権は来年4月に消費増税を行うと決断したが、それに対して市場の評価は定まっているようにはみえない。この判断が、「景気回復を不安定にして、脱デフレが止まる」というアベノミクスへの揺らぎとなってしまえば、これまで上昇していたインフレ期待が低下し、円高を招くリスクがある。実際には、株安が起きて、それで円高が起きるように見える(グラフ参照)。メインシナリオとまでは言えないが、このリスクシナリオには注意したい。





(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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