株式レポート
10月23日 17時0分
マネックス証券

力強さに欠ける雇用統計〜QE3縮小開始は来年へ持ち越しか〜 - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

非農業部門雇用者数 9月 +14.8万人 市場予想 +18.0万人 前月 +19.3万人(改定)
失業率 9月 7.2%  市場予想 7.3%   前月 7.3%

■堅調な回復も力強さには欠ける内容
9月分の米国雇用統計が22日に発表された。政府機関閉鎖の影響で本来の予定よりも大幅に発表が遅れたが、調査は政府機関閉鎖前に完了しており、9月分については閉鎖の影響はない。非農業部門雇用者数は市場予想の前月比+18.0万人に対し+14.8万人と、市場予想を下回った。8月分は+16.9万人→+19.3万人に上方修正された一方、7月分は+10.4万人→+8.9万人に下方修正された。

9月分の雇用統計は米国の労働市場が堅調に回復している一方、回復の加速に陰りが見られることを示す結果となった。単月のブレを考慮し3ヶ月移動平均で雇用者数の増加幅を見てみると、昨年末から今年の春先にかけては20万人を超えるペースで労働市場が回復していた。これがバーナンキ現FRB議長が5月にQE3の年内縮小に言及した大きな要因の1つだろう。しかし、現在の回復ペースは+14万人程度と明らかに回復が減速していることを示している(グラフ参照)。


■失業率は低下も労働参加率の低下傾向が押し下げている側面も
失業率は前月の7.3%から0.1%改善した7.2%となり、前月と同水準を予測していた市場予想を上回った。今年1月の失業率は7.9%から失業率は順調に大きく低下しているが、労働参加率の減少による側面がある(グラフ参照)。

労働参加率とは15歳から64歳までの人口(生産年齢人口)うち、労働人口(15歳以上の働く意欲のある人)が占める割合を指す。現在の米国の労働参加率の低下は、何らかの理由で職探しをあきらめてしまった人が増加し、労働人口が減少していることが引き起こしている。失業率は失業者÷労働人口で計算されるので、実質的な雇用者数が増加していなくても、職探しを諦めてしまった人が労働人口から除かれれば失業率は改善する。


例えば失業者10人、労働人口100人(就業者90人、失業者10人)であるとき、失業率は10÷100×100=10%である。
一方、もし失業者10人のうち4人が職探しを諦めてしまえば、失業者から4人が除かれることとなる。
(10―4)÷(100―4)=6÷96=6.25%と実質的には労働市場の改善が起きていないにもかかわらず失業率は減少する。

上記はわかりやすくするための極端な例ではあるが、傾向としては米国労働市場で同様のことが起きているため、失業率が低下したにもかかわらずFRBが量的金融緩和縮小(テーパリング)を先送りした要因となっている。

■量的金融緩和の縮小は来年に持ち越しか
今回の雇用統計はFRBのテーパリング開始時期を、従来のコンセンサスだった12月から年明け以降に遅らせる可能性を高めた。

前述したように9月の雇用統計が労働市場の回復加速を示していないことに加えて、11月8日に発表予定の10月分の統計には政府機関閉鎖の影響が出てくる。どれほどの影響があるかは未知数だが、ネガティブな影響は避けられず、大幅な改善は見込みにくい。

従来FRBは雇用情勢を特に重視する姿勢を打ち出していることに加えて、10月16日付レポートで記したとおり、来年2月から次期FRB議長に就任するイエレン現副議長は、経済指標から経済動向を客観的に判断し柔軟に金融政策の判断を行う人物である。そして議長の指名会見でも特に雇用情勢を重視する姿勢を打ち出している。イエレン氏就任までに雇用回復が加速する可能性は低い。

さらに一旦は民主党と共和党の合意で決着を見た米国の財政問題だが、あくまで合意内容は年末から年明けまでの暫定的なものであり、年末から再び米国は政治的混乱に陥る可能性がある。再び混乱が起き、長期化すれば経済に大きな悪影響を与えることも否定はできず、このこともFRBにとっては年内にテーパリングを開始しづらい要因となる。

■用語解説
雇用統計
米国の労働省が毎月発表する雇用情勢を表す経済指標。雇用情勢は個人消費や景気動向に大きな影響を及ぼすため、極めて重要な経済指標として位置づけられている。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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(マネックス証券)


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