あなたはどちらのタイプ?

 自分にぴったりの投資信託を選ぶためには、やみくもにパンフレットや目論見書に目を通すのではなく、まず、自分の資産状況や、どの程度のリスクがとれるのかなどを把握する必要があります。

 資産状況や投資に対する考え方は1人ひとり違いますが、リスクのとり方と運用のしかたによって、投資家を大きく2つのタイプに分けることができます。あなたはどちらに当てはまりますか?

資産形成タイプ:これから積極的にお金を殖やそうとしている投資家。この先、まとまったお金を要するライフイベント(結婚、出産、子どもの教育、マイホームの取得、老後の準備など)が待っている人で、一般的には若い人がこのタイプにあてはまります。

資産活用タイプ:ある程度まとまった額の余剰資金がすでにあって、それを運用しつつ定期的に一定額を取り崩して活用しようとしている投資家。豊かな“第二の人生”を送りたいと考えている方などがこのタイプに属します。

 万が一、「自分はどちらのタイプにも当てはまらないけれど、なんとなく儲けられそうだから始めてみたい」とか、「すぐに2倍、3倍になる投資をしたい」という方がいたら、投資信託を買うことは決しておすすめしません。

 投資信託がもっとも適しているのは、この先の人生を送るうえで中長期的な目標があり、その目標に向かってお金を殖やしていきたい、あるいは、お金を取り崩しつつも長い人生のためにきちんと運用をしていきたい、と考えている人です。

 資産運用先進国アメリカでは、個人投資家はたいてい、きちんとしたマネープランを立てて資産を運用しています。人生の目標は人によってさまざまですが、どの目標も、短くても5年以上、長い場合は20~30年という投資期間を見込んでいます。このように、長期的な目標が見えているときにこそ、投資信託は威力を発揮する金融商品なのです。

 加えて、もうひとつ。資産運用というと、単にお金を殖やすことが目的だと思われがちなのですが、実際は少し違います。

 資産運用とは、まずお金を殖やす目的や目標を決め、それを達成するためにいちばん適したお金の殖やし方を考え、実践することです。資産運用はゴルフのパターのようなもの。目標となるピンもカップも見えないのにボールを打ってもしかたがないように、「いつまでにいくら」という目標もないままやみくもにリスク商品に手を出しても、意味のある資産運用はできません。

 さて、自分のタイプを確認したところで、今度は投資の目的を決めてあなたの資産状況を確認し、自分が何%くらいの「投資利回り」をあげればよいかを計算していくことにしましょう。

 個別の投資信託を選ぶ前に目標利回りを把握することは、とても大切なことです。いきなり投資信託を選ぼうと思っても、自分がどれだけのリスクをとって運用したらよいかわからないからです。

 必要な投資利回りがわかれば、それほど高いリターンを必要としないはずの人が高利回りを追い求めてむやみに大きなリスクをとったり、ある程度リスクをとって運用しないと目標を達成できない人がリスクもリターンも少ない商品を購入してしまったりといった失敗を避けることができます。

 目標利回りの計算は本来少々面倒くさいものですが、インターネット上に無料で使える便利なツールがありますから、それを活用することにしましょう。

 タイプが異なれば、目標利回りの割り出し方も異なってきます。自分がどちらのタイプかをよく考えたうえで、「資産形成タイプ」の人は次ページへ、「資産活用タイプ」の人は4ページ目へ進んでください。