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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

追加緩和の焦点は「量」より「質」より「時間軸」
~「エンゲルの法則」に反する日本の消費者物価指数
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第115回】 2013年10月30日
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市場の焦点:
「第三の矢」から「第一の矢」へ

 海外投資家と話していると、アベノミクスに対する彼らの期待が「第三の矢」(「成長戦略」という名の構造改革)から「第一の矢」(金融緩和)に回帰しつつあることを痛感する。

 1つのきっかけは、国家戦略特区の範囲内でさえ、労働市場改革の議論が先細りする兆しがあることだ。企業のビジネスモデルの変革スピードを左右する1つの要因として、労働力の可動性(mobility)が挙げられる(なお、労働力の可動性は正規雇用、非正規雇用など雇用形態の流動性(liquidity)とはかならずしも同一の論点ではないことに注意したい)。

 したがって、労働力の可動性向上が期待できないとなった場合、「日本企業が変わる」という期待自体が萎縮しかねない。勢い、市場の焦点は「第一の矢」(金融緩和)に戻る。まして米国の“Tapering”(量的緩和の縮小)が先送りされる中では、先進国に共通して市場の焦点は金融政策に絞り込まれようとしている。

消費者物価指数(CPI):
「家具・家事用品」「教養娯楽」が上向き

 日本の金融政策の場合、焦点は追加緩和があるのか、あるとすればいつ何をするのかにある。この点を占う上で消費者物価指数(CPI)が鍵を握る。先週発表された9月分CPIでは、生鮮食品を除くコアCPIは前年同月比+0.7%と4ヵ月連続で前年比プラスとなった(図表1参照)。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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