まずは、長いたとえ話を――。

 家内と“一流ホテル”のレストランに行き、私はフレッシュオレンジジュースを頼んだ。それから『レトワール風オードブル ホテル菜園の無農薬野菜を添えて』という一品と『若鶏の照り焼き 九条ネギのロティとともに』をいただくことにした。

 家内は『マンゴースムージーミルク仕立て フレッシュマンゴーとバニラアイスをブレンド』というドリンクを飲み、前菜に『クラゲのレッドキャビア添え』をいただき、メインは『芝エビとイカのクリスタル炒め』にした。デザートは『苺とチョコのシュー・ア・ラ・モード 手作りチョコソースをあわせて』である。

 料金は普通のレストランで食べるより高くなってしまったが、一流ホテルでいただいたのだ。このくらいの出費はしょうがないだろうと思っていた。

 ところが、私たちが食べた食材が、全ていんちきだったことがわかった。

 客の目の前でオレンジを搾るから“フレッシュ”オレンジジュースと呼ぶはずなのに、そのホテルでは、パックから注いだだけのものをフレッシュジュースと偽って客に飲ませていた。期待した無農薬野菜も嘘八百。

 一〇〇グラムで三五〇〇円もするレッドキャビアは最初から用意されず、一〇〇グラム五〇〇円のトビウオの卵を高級キャビアだと偽っていた。仕入れ値を、実に七分の一に抑えたのである。

 すると、いんちきキャビアを一キロ仕入れるごとに、ホテルは三万円もの利ざやを稼いでいたことになる。

 一キロあたり二〇〇〇円もする九条ネギは、一キロ八〇〇円のフツーの白ネギにすり替えられていた。これも、仕入れ値を半分以下に抑えた商品だった。一流ホテルともあろうところが、実にあざとい商いをしていたのである。

 さらに、フレッシュマンゴーと言っておきながらやっぱりフレッシュではなく、冷凍カットマンゴーで代用されていた。一キロで二五〇〇円もする芝エビは半値以下で仕入れたパナメイエビでごまかし、手作りチョコソースは手作りどころか、ただの既製品だった。

 私たちは“一流ホテル”という看板にすっかりペテンにかけられたのである。

 でも、料金だけはしっかり取られていた――、というお話です。たいへん長い導入になってしまいました。