メニューに載せた“食材偽装”が発覚したのは、阪急阪神ホテルズ。直営八ホテルにあるレストラン・宴会場の二三店舗で、計四七品目のメニューに嘘の表示を載せていた。

 繰り返すが、四七品目である。しかも、七年半の長きにわたって。

 これまでに延べ八万人弱の人たちが騙されて嘘の料理を食べていたというのだから、申し分のない偽装行為である。冒頭で紹介したメニューは、全て、阪急阪神ホテルズがやっていたことだ。

 ところが、である。

 偽装発覚後の釈明会見に臨んだ阪急阪神ホテルズ社長・出崎弘氏は、偽装ではないと言い放った。バッタモンを本物に見せかける不正行為を、私たちは“偽装”と言っているのだが、阪急阪神ホテルグループではそれを偽装とは言わないらしい。

 ならば、偽装でなければ何なのか――?

「偽装か偽装でないかと問われれば、偽装ではない。誤表示です」

 誤表示ときた。
 シャレにもならんぞ。客に食い物を食わせる立場の人間が食わせ者だなんて。

「ある意図をもって……、意図というのは、自らの利益、会社の利益ということだと思いますが、そういう意図をもってメニューのネーミングをしたということであれば、私は“偽装”だと思います。ただし、今回に関しましてはそういうことではなく、全くの無知、あるいは無自覚ということでございますので、私は“偽装ではない”と認識しております」

 いやいや、ずいぶん利益は上げているはずですが。

「会社として、必要以上に原価を削って、利益を捻出しようというような指示、もしくは経営をしたことは全くございません。レッドキャビアの問題に関しましては、納入業者が“レッドキャビア”という商品名で、当社に納入してきたものでありまして、悪意をもってトビウオの卵をレッドキャビアと……、いかにも高そうなネーミングにして、利益ならびに商品価値をあげようとしたわけではございません」

 出崎社長はこう宣った。