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吉田恒のデータが語る為替の法則

ドル/円反発はポジション調整に過ぎない!
米利上げ先取りのドル本格上昇はまだ先!!

吉田 恒
【第59回】 2009年12月24日
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 円安・米ドル高が続いており、米ドル/円は90円を大きく超えてきました。

 この急反発の要因については、円の「買われ過ぎ」の修正と、米ドル・キャリートレードの反動が出たためと、私は見ています。

 一方で、私は、円安・米ドル高が進む局面が2010年に訪れると予想していますが、足元の動きは、まだ「それ」ではないと思っています。

 各通貨のポジション動向を見るには、CFTC(米商品先物取引委員会)統計を見るのが有効です。これは、ヘッジファンドなどの有力投機筋の売買を反映しているとされています。

 それによると、円のポジションは、12月1日には5万6000枚のロング(買い持ち)となっていましたが、なんと、12月15日には、8000枚のロングに激減したのです。

 5万6000枚の円ロングというのは、今年最大の数字です。それを記録した12月初めは、「ドバイショック」などをきっかけとして、一時84円台まで円高・米ドル安が進んだ局面でした。

 つまり、84円台までの円高進行によって、円はかなりの「買われ過ぎ」になっていた可能性があります。

 ところが、円ロングは一転して、12月中旬に8000枚まで激減したのです。これは、ポジションにほとんど偏りがない、ニュートラル(中立)の状態と言えるでしょう。

 つまり、84円台から90円へと円安・米ドル高に戻す過程で、円の「買われ過ぎ」が、ほぼ解消されたようなのです。

IMFが指摘するほど
「ドル・キャリー」が急拡大!

 このように、12月上旬から中旬にかけて、為替市場で大きな変化が起きていたのですが、その中で、もう1つ特筆されることは、米ドルの「キャリートレード」の変化でしょう。

 「ドル・キャリートレード」とは、低金利の米ドルを安いコストで調達し、それを売って、より高い利回りの資産に投資する取引のことを言います。いわば、「米ドル売り運用」というわけです。

 米国の政策金利が実質ゼロになってから、すでに1年も経過しています。

 足元でも、米ドルを売って新興国や資源国などに投資する「ドル・キャリー」が急拡大しており、IMF(国際通貨基金)もつい最近、このことを指摘したばかりでした。

 IMFが取り上げるほど急拡大していたかどうかはともかく、先ほど使ったCFTC統計を見ると、「ドル・キャリー」、米ドル売りの拡大は、ある程度裏付けられます。

 主要5通貨(日本円、ユーロ、スイスフラン、英ポンド、加ドル)のポジションをもとに、米ドルのポジションを推計してみました。

 すると、12月1日に10万枚を大きく超えるショート(売り持ち)を記録していたことが判明し、米ドル売りが今年最大規模に拡大していたことがわかります。

 ところが、米ドルのショートポジションは、12月中旬にかけて急減し、2週間後の12月15日には、小幅ながらも米ドル・ロングに転じていました。

 これは、米ドルが上昇した一方、金などの資源価格、そして、新興国の株式市場や通貨が反落した状況下で、「ドル・キャリー」が解消されたことを示しているでしょう。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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