若者をチームメイトにしてしまったDJポリスの伝え方

2013年は、話しベタ日本人の「伝え方元年」「サポーターのみなさんは12番目の選手でもあります」DJポリスのアナウンスは、渋谷の若者の心を動かしました。
写真:報知新聞/アフロ

 サッカーワールドカップの出場を決めた日の夜。渋谷の交差点は騒然としていました。ぎりぎりの攻防で、最後の最後に一点を勝ち取った日本に、若者たちは熱狂状態。渋谷に集まる若者という自体、やんちゃな集団なのですが、しかもお酒が入っているという危なっかしい状況。
今までのおまわりさんのアナウンスでしたらこう言っていました。

「交通ルールを守りなさい」
「そこの若者、車道に出るのやめなさい」

でも、DJポリスは違いました。

「サポーターのみなさんは12番目の選手でもあります。ルールとマナーを守ってフェアプレーで今日の喜びを分かち合いましょう」

 こうアナウンスしたことで、やんちゃな若者たちの心が動きました。その日はひとりも渋谷交差点でけが人が出なかったとのことです。

 奇跡のアナウンスと言われていますが、このアナウンスには人が動きたくなる技術が使われています。「チームワーク化」です。それは何かのお願いをするときに、相手対自分と対立するのではなく、「いっしょにやりましょう」と同じ方向を向いてしまう技術です。いっしょにと言われると、思わず人は話をきいてしまう本能があります。一番身近なことでいうと、一緒にトイレ行こうと誘われると思わず行ってしまうあれです。

 のちにDJポリスは警視総監賞を獲得したのですが、雑踏警備の功績での受賞は史上初だったとのことです。