橘玲の日々刻々 2013年11月5日

「米国債のデフォルト」を人質にとった
ティーパーティは似非リバタリアン
[橘玲の日々刻々]

 連邦債務上限引き上げをめぐる混乱で政府機関閉鎖という異常事態に陥ったアメリカは、ようやく民主・共和両党の合意が成立し、来年2月までの上限引き上げが決まりました。この混乱は、オバマケアと呼ばれる医療保険制度改革に反対する共和党強硬派が「米国債のデフォルト」を人質にとる危険な賭けに打って出たためで、この無謀な戦略は米国内でも厳しい批判を浴びました。

 アメリカには国民皆保険制度がなく、自営業者や失業者など約5000万人が医療保険に加入していません。健康保険は主に企業を通じて加入するため、リストラなどで職を失ってしまうとたちまち医療費の支払いに窮するようになり、破産や家庭崩壊という悲劇を招くことがずっと問題視されてきました。

 オバマケアは国民皆保険の導入を断念する代わりに民間保険会社に肩代わりさせるもので、今後はすべての国民に保険加入を義務付けると同時に、保険会社は持病を抱えているひとの加入申請を断わることができず、1年間の医療費の自己負担にも上限が定められました。制度改革に必要なコストは、製薬会社など医療関連業界への課税と保険料の引き上げによって賄われることになっています。

 共和党がオバマケアに反対するのは、「アメリカ建国の理念は自助自立で、国民皆年金も国民皆保険も不要」という政治理念を掲げているからです。これがアメリカの保守思想ですが、もっとも強硬なティーパーティのひとたちは「リバタリアン」とも呼ばれています。

 ティーパーティの名は独立戦争のきっかけをつくったボストン茶会事件に由来し、「建国の理念に帰れ」という主張を象徴しています。リバタリアンは「自由原理主義者」のことで、国家(連邦政府)は個人の生き方や地域社会にいっさい介入すべきではないという、かなり極端な政治的立場をいいます。


橘玲の書籍&メルマガのご紹介
世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。
経済、社会から国際問題、自己啓発まで、様々な視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。
「世の中の仕組みと人生のデザイン」 詳しくは
こちら!
橘 玲の『世の中の仕組みと人生のデザイン』 『橘玲の中国私論』好評発売中!

バックナンバー

»関連記事一覧を見る

海外投資必勝マニュアル&本

海外投資のノウハウが凝縮! ここで紹介しているコンテンツ、書籍はすべて、ネットから購入が可能です。さらに「海外投資実践マニュアル」は「海外投資を楽しむ会」の会員になれば割引価格で購入可能です。

作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
橘玲×ZAiONLINE海外投資の歩き方
作家・橘玲がメルマガ配信を開始!
subcolumn下影

ページのトップに戻る

本WEBサイトに掲載している全ての記事およびデータについて、その情報源の正確性・確実性・適時性を保証したものではありません。本サイトの提供情報を利用することで被った被害について、当社および情報提供元は一切の責任を負いませ ん。万一、本サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社および情報提供元は一切責任を負いません。本サイトからアクセス可能な、第三者が運営するサイトのアドレスおよび掲載内容の正確性についても保証するものではなく、このような第三者サイトの利用による損害について、当社は一切責任を負いません。また、併せて下段の「プライバシーポリシー・著作権」もご確認ください。