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高杉良『消失-金融腐蝕列島・完結編』
金融行政に翻弄された人々のドラマ

担当編集者が語る「経済小説の金字塔」最終章

【第38回】 2008年10月23日
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消失-金融腐蝕列島・完結編
『消失-金融腐蝕列島・完結編』(全4巻)高杉良[著]定価1785円(第1巻~第3巻)、1890円(第4巻)(税込)

 いまから約10年前、バブル後遺症に苦悶する日本の金融界は、未曾有の危機に陥っていました。三洋証券、拓銀、山一證券、長銀、日債銀等が巨額の不良債権に押し潰されて次々と破綻するさまは、まさに昨今の世界的金融危機と通底するものがあります。

 そんな時期(1997年)に発表されたのが高杉良氏の『金融腐蝕列島』(角川書店)です。バブルで傷つき裏社会につけ込まれる銀行の実態を抉った同作品は、圧倒的なリアリティに加え、金融不安が高まる絶妙のタイミングで刊行されたことで、100万部の大ベストセラーとなりました。

 その後「金融腐蝕列島」は、激動を続ける日本金融界の流れに沿ってシリーズ化されていきます。第二作『再生』では住専問題が、第三作『混沌』ではメガバンクの誕生が描かれました。そして、このたび最終巻が刊行された『消失』は、小泉・竹中ラインが構造改革の名のもとに推進した金融政策と、その流れに抗して苦闘するメガバンクの姿がモデルとなって描かれます。

 当時の「金融再生プログラム(通称・竹中プラン)」への評価は人によってさまざまでしょう。ただ、不良債権処理が厳しく進められるなか、数え切れないほどの企業が行き詰まり、それぞれの立場で苦悩した会社員、そして金融マンがいたことは事実です。新聞やテレビのニュースだけでは、その実態はけっして伝わりません。『消失』は、金融行政に翻弄されたそうした人々の姿をリアリティあふれるフィクションとして描いた作品です。良質のエンターテイメントとして楽しめる一方、あの金融改革について改めて考えるきっかけにもなるはずです。

 本作の主人公・竹中治夫はエリートではありませんが、人の心の痛みがわかる人物です。ただ、それ故に損な役回りを常に押し付けられがちです。『消失』で副頭取にまで昇進した彼が、銀行を救うために最後にいかなる「損な役回り」を引き受けるのか、是非楽しみにしていただきたいと思います。

 また、シリーズのもう一つの焦点である竹中と清水麻紀のロマンスは、はたしてどのような結末を迎えるのか(作者の高杉氏もその点を最後まで悩んでおられました)。こちらも是非お楽しみに。

(ダイヤモンド社書籍編集局第一編集部編集長・今泉憲志)


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