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高額消費に沸く百貨店
好決算後に漂う不安

週刊ダイヤモンド編集部
2013年11月8日
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アベノミクス効果で高額消費が伸びる中、大手百貨店の好決算が続いている。だが、来年4月からの消費増税後の行方は不透明だ。景気が失速すれば一気に急落しかねない危うさをはらんでいる。

 「富裕層の消費傾向は拡大しつつある」(鈴木弘治・高島屋社長)

 株価上昇による資産効果や景気回復への期待感から、百貨店の高額商品売り場が活況を呈している。

 三越日本橋店で今年8月下旬から9月1日まで行われた「三越ワールドウォッチフェア」では、高額時計が例年にない売れ行きとなった。100万円以上の時計の売り上げ点数は前年の2割増。さらに500万円以上もする時計が前年の約4倍も売れた。

 高額消費の傾向が顕著に表れたのは松坂屋銀座店が6月末まで行った閉店セールだ。特に絵画の売れ行きはすさまじく、売上高は当初目標の2.5倍。「通常、絵画の売り尽くしセールで最も売れるのは10万~30万円クラスだが、銀座松坂屋の閉店セールでは、100万~200万円クラスの絵画が全体の約4割を占めた」(J.フロント リテイリング)という。

 さらに富裕層でなくても手が届く「プチぜいたく」ニーズを取り込もうとする動きもある。

 J.フロントでは「普段の消費は抑えて特別な日にぜいたくをする消費の二極化が、今回の高額消費ブームで、さらに加速している」として、クリスマスケーキの最高値商品を従来の6000円から1万5000円へ引き上げた。

 また、三越伊勢丹ホールディングスでは、メンズスーツの品ぞろえにおいて「プライスラインを低価格帯中心から高価格帯中心へと変更した」(同社)。

 大手百貨店の2013年8月中間決算では、高額消費を取り込んだ企業が軒並み好決算となった。

 特にJ.フロントは、売上高、営業利益、経常利益、当期利益のすべての段階で、07年9月の大丸と松坂屋ホールディングスの統合後、過去最高を更新した。

松坂屋上野店では10月中旬、期間限定のアベノミクス企画として、10万円と20万円の「宝石ガチャガチャ」まで登場した
Photo by Hiroki Matsumoto

 百貨店事業については、高額消費を背景に、昨年10月に増床した大丸東京店、今年6月に食品売り場を全面改装した松坂屋名古屋店、今年6月に閉店セールを行った松坂屋銀座店の売上高は前年同期比で2桁増を記録。また、昨夏に取得したパルコの業績が上乗せされたことで、営業利益は倍増の179億円。食品スーパーのピーコックの売却益もあり、最終利益は約5.2倍の205億円となった。

 高島屋でも国内百貨店における高額品の売り上げ増やシンガポール店の好調などもあり、営業利益は前年同期比10.2%増の112億円で4期連続の増益。また、売上高に当たる営業収益は3.7%増の4353億円で、2期連続増収となった。

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