株式レポート
11月7日 17時0分
マネックス証券

雇用統計直前レポート〜政府機関閉鎖の影響度は予測困難も労働市場の回復は減速傾向に〜 - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

ADP雇用統計   10月 +13.0万人 市場予想 +15.0万人 前月 14.5万人(改定)

■政府機関閉鎖の影響の見極めは困難 発表時の値動きは特に注意が必要
政府機関閉鎖の影響で本来の発表予定日から1週間遅れて11月8日(金)に雇用統計が発表される。発表スケジュールは大幅に遅れたものの調査自体は政府機関閉鎖前に終了していた9月分の統計と異なり、10月分は政府機関閉鎖の影響を受けた数値となる。

今回の雇用統計の市場コンセンサスは、非農業部門雇用者数が+12.0万人(前月は+14.8万人)、失業率が7.3%(前月は7.2%)となっている。政府機関閉鎖の影響を正確に予測することは非常に困難であるため、通常時よりも市場予測と乖離する可能性が一層高い。指標の発表前後は通常の発表時よりも値動きがさらに激しくなる可能性があり、FXのお取引をされているお客様は特にご注意いただきたい。

上記どちらの指標にも政府機関閉鎖の影響が出る可能性は高いが、その影響度を正確に予測することは困難である。そのため、本レポートでは具体的な数値予測はせず、米国労働統計局の政府機関閉鎖の影響についての発表内容や過去の政府機関閉鎖時の雇用統計、最近発表された労働市場関連の経済指標から傾向予測を述べるに留めたい。

■政府機関閉鎖の影響が大きい失業率の調査方法
まず、米国労働統計局が雇用統計に対する政府機関閉鎖の影響について発表した書面からすると、失業率は非農業部門雇用者数に比べて政府機関閉鎖の影響が大きく、10月は一時的に悪化する可能性が高い。その背景として失業率と非農業部門雇用者数で調査方法が異なっている点を整理したい。

失業率の集計には家計(個人)にアンケートをとる「家計調査」が行われており、「調査対象期間中に仕事をしていたか」という形式でアンケートが行われる。

今回の家計調査の調査対象期間は10月6日から12日とまさに政府機関閉鎖が行われていた最中で、閉鎖の影響で一時的に休職していただけで復職予定にある人でも、アンケートに「調査対象期間中に仕事をしていなかった」と回答すると一時的な失業者とみなされる。本来は失業していない労働者も10月は一時的に失業者にカウントされるおそれがあるため失業率が上昇する可能性があるということだ。さらに通常は調査対象期間の翌日から調査が開始されるが、今回は政府機関閉鎖の影響で調査対象期間と調査実施期間に約1週間のタイムラグがあるため、回答者の記憶をあいまいにさせ、回答にバイアスをかける可能性もある。

一方、非農業部門雇用者数の調査には「事業所調査」という、事業主(政府機関を含む)に対しての調査が行われ、「調査対象月のいずれかの日に給料を受け取った労働者」を基準にデータ収集が行われている。この方法では政府機関閉鎖に伴って給料の支払いが遅れたとしても、10月中に給料を受け取っていれば労働者としてカウントされ、さらに給与支払いは通常電子的データが残っているため、家計調査に比べると正確性は高く、比較的閉鎖の影響は少ないと言える。

■前回の政府機関閉鎖時の雇用統計は?
閉鎖期間等に違いがあり、そのまま今回の雇用統計にも傾向が当てはまるかどうか定かではないが、前回の政府機関閉鎖時の雇用統計を確認してみたい。

前回米国で政府機関閉鎖が発生したのは1995年12月16日から1996年1月6日だった。1996年1月分の雇用統計が政府機関閉鎖の影響を受けた格好となり、12月まで堅調に増加していた雇用者数が1月に一時的に減少し、2月に反動で大きく増加する結果となった(グラフ参照)。


前回の閉鎖時同様の傾向になるとすれば、今回の非農業部門雇用者数も大きく減少する可能性があり、やはり雇用統計の下振れには注意が必要である。続いて、既に発表された雇用関連の経済指標から現在の米国労働市場の傾向を記す。

■米国労働市場は回復鈍化傾向、雇用統計も冴えない結果となるか
米雇用関連会社のオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した10月の民間非農業部門雇用者数は、前月から13万人の増加と市場予測(15万人の増加)を下回った。さらに9月の雇用者数が16.6万人増から14.5万人増に下方修正された(グラフ参照)。


修正された数値も考慮すると増加幅の減少は4ヶ月連続で、米国労働市場の回復が鈍化している傾向が浮き彫りとなった(グラフ参照)。

その他の労働関連の重要指標として「新規失業保険申請件数」があるが、直近に発表された10月25日の週の申請件数が34.0万件と前週の35.0万件から申請件数は減少した(望ましい)。ただし、9月から10月にかけてカリフォルニア州でシステム移行が行われたことが原因でデータに若干の歪みが生じている可能性があり、判断しにくい面がある。

政府機関閉鎖の影響度合いの見極めは難しいが、ADP雇用統計の結果からすると、米国労働市場の回復は減速傾向にある可能性が高く、政府雇用統計でも大幅な改善は期待しにくい。さらに政府機関閉鎖の悪影響が数値に表れる可能性を考慮すると、前月の増加幅である+14.8万人よりも増加幅は減少する可能性が高く、特に大幅な下振れに注意したい。

■用語解説
雇用統計 米国の労働省が毎月発表する雇用情勢を表す経済指標。雇用情勢は個人消費や景気動向に大きな影響 を及ぼすため、極めて重要な経済指標として位置づけられている。



マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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(マネックス証券)


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