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米住宅公社救済は弥縫策にすぎず
避けられない信用危機の再燃

週刊ダイヤモンド編集部
2008年9月16日
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 市場は素直に好感した。だが、いずれは見透かされる――。ポールソン財務長官が9月7日に発表したファニーメイ(連邦住宅抵当公社)とフレディマック(連邦住宅抵当貸付公社)への公的資金注入を含む救済策のことだ。

 8月半ば以降、両社の株価は7月に両社への支援策を発表する直前の水準を下回って推移していた。当局としては新たな救済策を発表せざるをえない状況に追い込まれたかたちだ。

 今回の救済策の柱は3つある。1つ目は財務省による優先株購入と普通株購入権取得である。両社合計で2000億ドルの優先株購入枠を設定。まず10億ドルずつ両社の優先株を購入し、さらに今後も両社が債務超過に陥ることがないよう購入を続け、そして、2028年9月を期限として出資比率79.9%までの普通株購入権を引き受ける。

 2つ目は、財務省がニューヨーク連邦銀行経由で両社に融資をする資金繰り支援。3つ目は、09年末を期限とする両社保証MBSの購入だ。これらの措置で、両社の住宅ローン関連商品の買い取り拡大を促す。

 債務超過に陥らせることなく業務を継続させ、「両社の社債の元利払いや保証業務に支障を来さぬようにした」(中川隆・大和証券SMBC金融市場調査部次長)という点で評価はできる策だ。

 市場は、とりあえず救済策を好感し、8日のアジア、欧州、米州の主要市場の株価は上昇した。しかし、「この救済策で両社の経営危機問題に絡む金融危機が解決したとはいえない」(中空麻奈・JPモルガン証券クレジット調査部長)との見方が少なくない。

 「現在、両社合計のサブプライム関連のポジションは1300億ドル、Alt‐A(プライムとサブプライムの中間の信用度の住宅ローン)関連のポジションは5300億ドルと推計される」(石原哲夫・みずほ証券シニアクレジットアナリスト)。加えて、両社保証のMBSを加えた負債総額は6月末時点で5兆4704万ドルに達し、その規模は米国債発行残高に匹敵する。

 負債総額の4%弱、サブプライムとAlt‐Aの合計額の3分の1弱の損失が発生すれば、優先株購入枠を使い切る計算だ。住宅価格は今後さらに一割前後低下するとの予測が主流であり、購入枠を使い切る確率は決して低くはない。

 次なる策の普通株購入も一筋縄ではいかない。米国政府が議決権を持ち関与を強めていくことは国有化への道を開くことになる。国有化は両社の債務を政府が保証することであり、政府の実質債務増大は米国債の格下げにつながる。おいそれと当局が選択できる道ではない。

 いずれ市場は救済策の脆弱さを見透かすだろう。遠からず信用危機が再燃することは避けられない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 竹田孝洋)

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