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「デジタルな日常」を生きる

コードは、あらゆる分野の「夢」を
実現するための方法

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第7回】 2013年11月13日
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 MIT Media Labの所長を務める伊藤穣一氏に、コードを学ぶことについて聞くと、次のように答えた。

 「インターネット以降の世界において、コードは読み・書きと同じレイヤーで必要な能力になったと考えています。MITのMedia Labの入学資格で唯一課しているのはコードです。しかしコードで何か作ろうとすると、必ず他の教科の知識が必要になってきます。例えば私の場合、コードの中で利用するアルゴリズムを作る時に、以前勉強して忘れてしまっていた数学の知識を学びなおしました」(伊藤氏)

 伊藤氏は講演で、「BI」(Before Internet)と「AI」(After Internet)という時代の変化を例に挙げるが、経済活動や政治、選挙、生活がインターネットを前提にする際、コードの知識が糸口になるという考え方だ。

 またコードを学ぶことによる自律的な学習についても興味深い示唆を与えてくれる。数学に限らず、言葉を扱うのであれば国語の文法の知識が役立つし、気象データを扱うのであれば物理や地学の知識が必要だ。何らかの問題解決を行おうとコードを作り始めることで、そこに必要な知識をさらに学ぶ、という効果を期待することができる。

コードを学べば、物事の見方が変わる

 そもそも、ものの見方が変わってくると経験を語るのは、本連載でも登場した、ツイッターやスクウェアの共同創業者であるジャック・ドーシー氏だ。

 「コードを学ぶことによって、何かが作れるようになっただけでなく、物事のとらえ方、考え方が変わりました。世界の見え方も、変わってくるのです。物事をより分析することができるようになり、あなたの生活や仕事を理解してより小さくシンプルにすることができます。コードを学ぶことで、たくさんのその他のことを学びました。そのため、プログラマになる人だけに限らず、すべての人にお勧めしたいです」(ドーシー氏)

 また同様にインタビューしたグリーの代表取締役社長、田中良和氏は、コードについて次のように語る。

 「コードは、自分の思いを表現し、多くの人に伝える手段だと考えています。今後社会でいろいろな人とコラボレーションをする時に、コードが書けることはとても大きな武器になるのではないでしょうか。特に世の中にまだないものを作る時に、言葉だけで伝えるには限界があります。コードによって、人に気づきを与えたり、小さな変化を作り出せれば、その延長線上に社会を変革することを身近に感じられるのではないでしょうか」(田中氏)

 もちろんコードはコンピュータに対して命令を行う手段であり、言語ともいえる。しかしそれを学ぶことで視点が変わり、また物事を変化させることができるのではないか、という考え方に変わる点を、ドーシー氏と田中氏の意見からうかがうことができる。

次のページ>> 村井純教授はこう語る
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松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

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スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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