株式レポート
11月14日 18時0分
マネックス証券

<アベノミクス相場1周年> 自分を信じる - 広木隆「ストラテジーレポート」

1年前の今日、当時の首相だった野田さんが衆院の解散宣言をしたときから、このアベノミクス相場は始まった。過去最高となる13兆円の外国人による買い越しで、日経平均はこの1年で6割超も上昇した。

しかし、過去1年のうち、一本調子の上昇が続いたのは、スタートから5月までの6カ月間。そこから急落を経て、後半の6カ月は下値も切り上がるが上値も抑えられた「三角持ち合い」が続いてきた。ざっくり言えば、半年棒上げして、あとの半年は調整した1年だった。

日経平均は、その三角持ち合いをようやく放れようとしている。先週末の米国雇用統計で市場のムードが一変した(詳しくはこちら→「米国経済の今を読む」)。ECBの予想外の利下げとも相まって、ドル買いの地合いに傾き、ドル円も節目の100円に迫る動きとなっている。

ちょうど4-9月期の決算発表が出そろったタイミングに、この流れが重なった。信用取引の5月高値の期日も明けようとしている。需給面でも軽くなる。機は熟した。半年に及んだ調整期間を終えて、アベノミクス相場「第2幕」の幕開けである。

市場ではまた例によって悲観論は多かった。どうして市場関係者は悲観論が好きなのか。僕が楽観論を言うと、能天気だと揶揄される。この辺りの事情は以前からあまり変わっていない(「年頭所感 2013 : アムラーと失楽園」ご参照)。

その最たるものが、今回の4-9月期の決算発表に対する市場関係者の評価である。失望だとか低調だとか期待外れというコメントがメディアに溢れた。4-9月期の決算発表を受けた14年3月期の経常利益見通しを総括すると、以下の通りである。

・ 経常利益 前期比28%増益
・ 全体で最高益だった08年3月期の90%まで回復
・ 49%の企業がリーマン危機前(08年3月期)の水準を上回る
・ 17%の企業が最高益を更新
  (日本経済新聞社調べ)

立派なものではないか。「期待外れ」というのは、それだけ市場の期待が高過ぎたということである。僕が従前からテレビなどでも使用している「バリュエーション・マトリックス」では、企業側の通期見通しをもとにした日経平均のEPSと、アナリスト予想の平均であるクィック・コンセンサスの乖離が一向に埋まらない。今回の決算発表では年度の半分が経過したわけだから、さすがに通期予想を上方修正してくるだろう、と思ったのが市場予想に全然届かないのである。これを「失望」といえば、確かにそうである。



しかし物事はポジティブに考えよう。それだけ上方修正の余地が温存されているということだから、お楽しみはこれからではないか。

「市場関係者」という人たちに問いたい。クィック・コンセンサスの予想EPSとは誰が予想したEPSであるのか。ほかならぬ、市場関係者、あなたたちが予想した数字ではないか。であるならば、会社側の見通しが上方修正されない、なんてことは関係ない。自分で予想した数字なら、それを信じればよいのである。日本企業の業績は○○になる、日経平均のEPSは980円になる、と自分の予想を信じればいいではないか。

以前のQSS調査で適正と思われる日本株のバリュエーションはPERで15〜17倍という回答結果が得られた。このレポートでもよく使っているPEマルチプル(倍率)である。

980円×15倍=14700円

ここ数日の相場の動きをみると、どうやら僕の声が聞こえたらしい。自分たちで立てた予想業績を素直に織り込む動きとなっている。もともと980円と予想していたのだ。そこまで買ってやって、なんにも不思議はないだろう。

そして、いつまで14年3月期の業績にこだわっているのだろう。株価というものは通常1年くらい先を織り込むものである。例えば、あと1月ほど経つと12月になるが、その時もまだ14年3月期の業績を云々いうのであろうか。それでは3カ月ほど先の話をしているだけである。機関投資家が通常使うのは12カ月先EPSである。クィック・コンセンサスの15年3月期予想EPSは今期対比10%増の1070円だ。12月を基準に12カ月先EPSに引き直せば1050円程度が見込まれる。

1050円×15倍=15750円

年末までにはその水準まで上昇し、5月につけた終値ベースの年初来高値15627円を抜くだろう。





(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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