営業部への異動は事実上の片道切符
無念な思いに悶える元編集者の告白

 今回は、会社の人事異動に不満を持ち、悶える中堅男性社員(40歳)のケースを紹介しよう。この男性を仮にA氏とする。

 A氏は、社員数500人ほどの出版社に勤務する元編集者だ。新卒で入社し、1年前まで17年間ほど雑誌や書籍の編集に関わった。しかし、営業部に異動となる。そのことに納得の行かない気持ちを抱え続けている。

 A氏に限らず、人事異動に落ち込んだり悲しんだりする会社員は少なくない。その思いを聞くと、組織の理不尽さが垣間見えて来ると共に、一方で会社員のエゴや甘えを感じ取ることもある。

 悶える職場の多くは、会社という組織や会社の上層部によってつくり出される。「人事異動」はその大きな要因の1つになり得るものだろう。当連載でも指摘してきたとおり、我々はこうした組織の理不尽さについて、深い問題意識を持つべきだ。

 しかし時には、社員自らが「悶える原因」をつくり出し、苦しむこともある。筆者にとって、A氏のケースはそう思えた。今回は、読者諸氏と共にそのことについて考えたい。


筆者 1年前、編集部から営業部へ異動になったことに、理不尽な思いを感じているのですね。

A氏 人事異動になることは、仕方がないとは思う。新卒も中途も、編集者、営業、管理部門と3つのコ―スに分けられ、採用されている。私や同時期に異動になった編集者6~7人は、新卒のとき編集者として内定を得て、入社した。

筆者 それは「職種別採用」と言えるのでしょうかね。