システム全体を見直す
チャンスとして捉える

 帝国データバンクの調査で最も多かった「財務会計や販売管理など基幹システムの改修」を考える場合の留意点はどんなところにあるのだろうか。

「財務会計ソフト自体は新しいバージョン(「弥生」製品ならば「弥生 14 シリーズ」)をインストールし直せば大丈夫です」と弥生マーケティング本部マーケティング部マネジャーの青木宏之氏は語る。同社の販売管理システムも含めて消費税率引き上げには対応済みだ。「他にも財務会計や販売管理のシステムとつながっている周辺のアプリケーションへの影響も考慮が必要です」。

 同社のような専門企業が提供するアプリケーションは、当然税制の改定に対応してくれている。しかし、財務会計や販売管理のデータは、他のアプリケーションでも利用されている。エクセルにデータを移して、報告書類に反映させたり、シミュレーションに利用したりしているケースは多い。帳票類にも独自のフォーマットが存在する。「こうした周辺のアプリケーションを含めた全体の見直しが必要になります」と青木氏は指摘する。

 ここでも消費税率改定をきっかけとした、積極的な見直しがよい結果をもたらす可能性がある。ムダなアプリケーションはないのか、スムーズな連携はできないのか、そのためにシステム全体はどう構築して運用するべきなのか、といった点だ。今のITインフラが老朽化している可能性にも目を向けたい。

「税率が変われば既存のデータとの整合性を取る必要が出てきます。新しい環境へ移行する際には、必ずバックアップを取ってから行ってほしい。万が一、財務会計のデータが消えてしまったら大変なことになります」と青木氏。PC1台で処理する形態では、その危険は大きい。古くなったハードディスクが突然動かなくなることもある。

 同社ではそうした事態も想定して、複数のPCで業務処理を運用できる「弥生ネットワーク」という製品を提供している。データをサーバ側で管理し、バックアップデータも安全に管理できる。会計や販売の処理を複数人でこなすことができるので、業務の効率化を図ることができる。青木氏は「できれば安心して利用できるシステム環境の上でソフトを動かしてほしい」と語る。

 財務会計のようなルーチン業務ではシステム環境の見直しをする機会はあまりない。来年4月のWindows XPのサポート終了も考慮して、システム環境を見直すことも、結果として企業体質の強化をもたらすはずだ。