オバマ米国大統領の業績のひとつになるはずだった「オバマケア」が、技術的な問題でのっけからつまずいている。

 オバマケア(医療保険制度改革法)は、これまで医療保険に加入できなかった低所得者にも、低価格の保険を提供することを柱としたもの。そのために、「ヘルスケア・エクスチェンジ(HealthCare.gov)」というサイトを作って、インターネットで簡単に保険商品を比較し、加入できることになっていた。

 ところが、10月1日のサイトオープンの日から問題が続出。早速利用しようとした人々は、サイトの動きがのろいだけでなく、申し込みができない、申し込んだのに記録されない、間違ったデータが送られるといったトラブルに阻まれた。

 数日前に発表された数字によると、これまで実際に保険の申し込みができた人々は約10万6200人。ホワイトハウスは10月末までに約49万4600人が申し込みを終えると予想していたのだが、現実的にはその21%ほどしか手続きを終えていないことになる。

 このサイトの障害は、鳴り物入りでスタートしたオバマケアにとっては大きな痛手だ。オバマケアに反対していた共和党の中には、まるで金鉱を掘り当てたかのように、サイト障害をオバマ大統領攻撃の武器にする議員たちも出ている。

 現在、11月末の完全修復を目指して、サイトには関係した外部ベンダーを始め、グーグルやオラクル、レッドハットなどのテクノロジー企業からエンジニアたちが借り出されて、全力で取り組んでいる模様だ。

 さて、それでは何が問題だったのか。

55社がかかわる大プロジェクトなのに
取りまとめ役の企業が不在?

 サイト障害が勃発した直後から、「いったい誰の落ち度か」という責任のなすり合いが始まった。

 政府側は、予想以上のアクセスにシステムが耐えきれなかったとしていたが、サイトの構築に関わっていた主要ベンダーは、最終的な運営テストにかける時間が短かすぎたと訴えていた。オープン間近に加えられた手順の変更にも、十分対処する時間が欠けていたようだ。